企業の利益を圧迫する電気代の高騰に、多くの経営者や担当者が頭を悩ませています。
電気代の削減は、単なる節約活動にとどまらず、企業の収益構造を改善する重要な経営課題です。
本記事では、法人の電気代が高騰する根本的な原因を解明し、即効性のある電力会社の切り替えから中長期的な設備投資まで、効果的な7つの削減方法を具体的に解説します。
自社に最適なコスト削減策を見つけ、経営体質の強化を図りましょう。
Contents
法人の電気代が高騰する3つの主な原因
法人の電気代が高騰している背景には、社会情勢による外部要因と、法人向け電気料金特有の仕組みが関係しています。
これらの原因を理解することが、効果的な対策を講じる第一歩です。
企業努力だけではコントロールしにくい要因と、会社の工夫で改善できる要因の両面から見ていきましょう。
原因1:燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金の上昇
電気料金には、発電に必要な燃料の価格変動を反映する「燃料費調整額」と、再生可能エネルギーの普及を目的とした「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」が含まれています。
燃料費調整額は、世界的なエネルギー価格の動向に左右されるため、国際情勢が緊迫すると上昇する傾向にあります。
また、再エネ賦課金も国の政策によって単価が毎年改定されており、近年は上昇傾向が続いていました。
これらの単価が上がると、企業がどれだけ節電しても、電気料金全体が押し上げられてしまいます。
原因2:基本料金を左右する「デマンド値(最大需要電力)」の仕組み
法人向けの電気料金(高圧・特別高圧)の基本料金は、「デマンド値(最大需要電力)」によって決まります。
デマンド値とは、30分間の平均使用電力のうち、月間で最も高かった数値を指します。
そして、その月のデマンド値が過去11ヶ月のデマンド値よりも高い場合、その数値が向こう1年間の基本料金の基準として適用されます。
つまり、たった一度でも突出して多くの電力を使ってしまうと、その後1年間は高い基本料金を払い続けることになるため、日々の節電だけでは料金が下がりにくい構造になっています。
原因3:事業形態で変動する電力量料金の単価
電力量料金は、実際に使用した電力量に応じて計算される費用で、料金単価は契約する電力会社や料金プランによって異なります。
特に、多くの電力を消費する工場や商業施設などの法人は、季節や時間帯によって料金単価が変動するプランを契約していることが少なくありません。
例えば、夏場の昼間など電力需要が高まる時間帯は単価が高く設定されていることが多く、事業形態によってはこの時間帯に多くの電力を使用するため、電力量料金が高額になりがちです。
自社の電力使用パターンと料金プランが合っていない場合、無駄なコストを支払っている可能性があります。
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法人・企業の電気代を削減する7つの効果的な方法
電気代が高騰する原因を踏まえ、具体的な削減策を検討することが重要です。
ここでは、多くの企業が実践可能で効果の高い7つの方法を紹介します。
即効性のある取り組みから、会社として中長期的に取り組むべき設備投資まで、自社の状況に合わせて最適な節約方法を組み合わせましょう。
方法1:【即効性大】電力会社を切り替えて料金プランを最適化する
現在契約している電力会社から、より料金単価の安い新電力へ切り替えることは、最も即効性が高く効果的な節約方法の一つです。
2016年の電力小売全面自由化以降、多くの会社が電力事業に参入し、多様な料金プランを提供しています。
自社の電力使用量や使用時間帯の傾向を分析し、それに合った最適なプランを選ぶことで、設備投資をすることなく電気料金そのものを安くできます。
特に、高圧・特別高圧電力を利用する法人の場合、削減額が大きくなる可能性があるため、まずは見積もりを取って比較検討することから始めましょう。
方法2:【基本料金対策】デマンド値を抑制してピーク電力を管理する
基本料金の節約には、デマンド値を低く抑えることが不可欠です。
デマンド値は30分間の平均使用電力の最大値で決まるため、短時間に電力使用が集中しないように工夫する必要があります。
具体的には、電力消費の大きい複数の大型機器を同時に稼働させないよう、時間をずらして使用する「ピークシフト」が有効です。
また、デマンド値を常時監視し、設定値を超えそうになると自動でアラートを発したり、空調などを制御したりする「デマンドコントローラー」を導入するのも効果的な節約策です。
太陽光発電のピークカットについては「太陽光発電のピークカットと過積載の仕組み」で詳しく紹介しています。
方法3:【運用改善】空調設備の温度設定や運用ルールを見直す
オフィスや工場、店舗などで消費電力の大きな割合を占めるのが空調設備です。
設定温度を夏は1℃上げ、冬は1℃下げるだけでも大きな節約効果が期待できます。
環境省が推奨する室温の目安(夏28℃、冬20℃)を参考に、社内で温度設定のルールを設けましょう。
また、定期的なフィルター清掃は冷暖房効率の低下を防ぎます。
さらに、サーキュレーターを併用して室内の空気を循環させることで、設定温度を控えめにしても快適性を保ちやすく、効率的な節約につながります。
方法4:【設備投資】施設全体の照明をLEDに交換する
施設内で使用している照明を、従来の蛍光灯や水銀灯からLED照明に交換することも有効な節約策です。
LED照明は、蛍光灯と比較して消費電力が約50%以上削減できるといわれており、大幅な電気代削減が見込めます。
また、LEDは寿命が非常に長いため、交換の手間やランプの購入費用といった維持管理コストも削減できます。
初期投資は必要ですが、国や自治体の補助金制度を活用できる場合も多く、長期的に見れば高い費用対効果が期待できる投資です。
方法5:【中長期対策】省エネ性能が高い最新の業務用設備へ更新する
長年使用している業務用エアコンや冷凍冷蔵設備、生産機械などは、エネルギー効率が現在の製品に比べて大きく劣る場合があります。
これらの古い設備を、省エネ性能が高い最新のモデルへ更新することで、事業運営に必要な電力量そのものを根本から削減できます。
設備更新には大きな初期投資が必要となるため、現状の設備のエネルギー効率やランニングコスト、更新による節約効果を詳細にシミュレーションし、計画的に進めることが重要です。
設備投資を支援する補助金制度の活用もあわせて検討しましょう。
方法6:【自家発電】自家消費型太陽光発電システムを導入する
工場の屋根や敷地内の空きスペースなどに太陽光発電システムを設置し、発電した電気を自社で消費する「自家消費型太陽光発電」も有効な選択肢です。
電力会社から購入する電力量を減らせるため、電気料金と再エネ賦課金の双方を節約できます。
特に、日中に電力使用量が多い事業所では大きな削減効果が期待できます。
また、蓄電池を併せて導入すれば、発電した電気を貯めておき、夜間や電力需要のピーク時に使用したり、災害時の非常用電源として活用したりすることも可能です。
法人の自家消費型太陽光発電については以下の記事で詳しく紹介しています。
法人の自家消費型太陽光発電|メリット・補助金・税制優遇を解説
方法7:【コスト補助】省エネ関連の補助金や税制優遇制度を活用する
LED照明や高効率空調、太陽光発電システムといった省エネ設備の導入には、国や地方自治体が提供する補助金・助成金や税制優遇制度が活用できる場合があります。
これらの制度をうまく活用することで、設備投資にかかる初期費用を大幅に軽減できます。
補助金には公募期間や要件が定められているため、常に最新の情報をチェックすることが重要です。
専門のコンサルティング会社などに相談し、自社が活用できる制度がないか確認するのも一つの方法です。
計画的な設備投資による節約と補助金の活用を組み合わせましょう。
太陽光発電のピークカットとは?過積載の仕組みと電気代削減メリット
失敗しない新電力の選び方!比較する際の3つの重要ポイント
電力会社の切り替えは電気代削減に効果的ですが、どの会社を選んでも同じというわけではありません。
自社に合わないプランを選んだり、信頼性の低い会社と契約したりすると、期待した効果が得られないこともあります。
ここでは、新電力を選ぶ際に必ず確認すべき3つのポイントを解説します。
ポイント1:自社の電力使用状況に合った料金プランがあるか確認する
新電力会社を選ぶ前に、まずは自社の電力使用状況を正確に把握することが重要です。
電力会社から毎月届く「電気ご使用量のお知らせ(検針票)」を確認し、月々の電力使用量やデマンド値を最低でも1年分は確認しましょう。
その上で、日中の稼働が多い、夜間や休日の電力使用が多いなど、自社の事業活動の特性を分析します。
各社が提供する多様な料金プランの中から、自社の電力使用パターンに最も適した、つまり総支払額が最も安くなるプランを提供している会社を選ぶことが基本です。
ポイント2:複数の会社から見積もりを取り削減額をシミュレーションする
気になる電力会社をいくつか見つけたら、必ず複数の会社から見積もりを取りましょう。
1社だけの見積もりでは、その提示額が本当に安いのか客観的に判断できません。
高圧電力の法人の場合、Webサイトに料金プランが明記されておらず、個別見積もりとなるケースがほとんどです。
複数の見積もりを比較することで、より有利な条件を引き出せる可能性もあります。
一括見積もりサービスなどを利用すると、効率的に複数の会社から提案を受けられます。
現在の料金と見積もり額を比較し、具体的な節約額をシミュレーションすることが重要です。
ポイント3:契約実績やサポート体制など会社の信頼性を見極める
電気は事業活動に不可欠なライフラインであるため、料金の安さだけでなく、電力会社としての信頼性も非常に重要です。
具体的には、これまでの法人向け契約の実績が豊富か、電力の安定供給を維持できる経営基盤があるかなどを確認しましょう。
また、万が一のトラブルが発生した際のサポート体制や、契約内容に関する問い合わせに迅速・丁寧に対応してくれるかどうかも見極めるべきポイントです。
企業のウェブサイトで会社情報や導入事例を確認したり、評判を調べたりするなど、総合的に判断することが失敗しない会社選びにつながります。
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およそ1分で完了 無料で最大3社を比較する法人・企業の電気代削減に関するよくある質問
ここでは、企業の電気代削減を検討する担当者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
多くの会社が抱える共通の疑問を解消し、より効果的な節約への取り組みを進めましょう。
なぜ節電を意識しても法人の電気代は下がりにくいのですか?
法人向けの電気料金は、一度決定した基本料金が1年間継続する「デマンド制度」や、世界情勢で変動する燃料費調整額が大きく影響するためです。
日々の節電努力だけではカバーしきれない料金構造が、電気代を下がりにくくしている主な原因です。
根本的な削減には、料金プランの見直しやデマンド値の管理が不可欠です。
電気代を削減するために、まず何から手をつけるべきですか?
まずは、現在の電力契約を見直し、複数の新電力から見積もりを取得することをおすすめします。
設備投資が不要で、自社の電力使用状況に合った料金プランの会社に切り替えるだけで、すぐに電気代を節約できる可能性が高いです。
現状把握と市場比較が、効果的な削減の第一歩です。
新電力に切り替えるデメリットや倒産のリスクはありませんか?
新電力の倒産リスクはゼロではありませんが、万が一契約した会社が倒産しても、地域の送配電事業者が電気を供給するセーフティネットがあるため、電気が止まることはありません。
ただし、料金プランの変更などは必要になります。
契約実績や経営基盤など、会社の信頼性を事前にしっかり確認することが重要です。
従業員に負担を強いる「地道な節電」以外で、大きくコストを下げる方法はありますか?
「オフィスの冷暖房を過度に制限する」「こまめに消灯する」といった従業員への負担が大きい節電は、モチベーション低下や業務効率の悪化、体調不良につながりやすいため限界があります。
これを避けるため、「デマンド(最大需要電力)の抑制」や「省エネ設備の導入」が効果的です。
まとめ
法人や企業の電気代削減は、外部要因と内部要因の両面から対策を講じることが重要です。
燃料費調整額などの高騰といった外的要因を理解しつつ、デマンド値の抑制や省エネ設備の導入といった企業努力を重ねる必要があります。
特に、電力会社の切り替えは、多くの会社にとって即効性と効果が高い節約策となり得ます。
自社の電力使用状況を正確に把握し、複数の選択肢を比較検討することで、最適なコスト削減を実現し、企業経営の安定化につなげることができます。