デジタルグリッドとは?仕組みやサービス、再エネ電力取引のメリットを解説

デジタルグリッドとは、インターネットのように電力を識別し、取引可能にする次世代の電力網を指す概念です。
この仕組みは、再生可能エネルギーの普及や電力コストの最適化を目指す企業にとって、新しい電力調達のサービスとして注目されています。

本記事では、デジタルグリッドの基本的な仕組みから、具体的なサービス内容、導入するメリットまでを分かりやすく解説します。

Contents

デジタルグリッドとは?電力を識別して取引する次世代の電力網

デジタルグリッドとは、発電された電力を発電所ごとに「識別」可能にし、企業間で直接売買できるようにする新しい電力流通の仕組みです。
従来の電力網では、様々な発電所で作られた電気が送電網で混ざり合うため、どの電気がどこから来たのかを区別できませんでした。
しかし、デジタルグリッド技術を用いることで、電力に発電所や発電時間などの情報を付与し、追跡できるようになります。

これにより、需要家は「どの発電所が作った再生可能エネルギーの電力を買うか」を自ら選択することが可能になります。

スマートグリッドとの決定的な違いは電力の「識別」能力

スマートグリッドとデジタルグリッドは、どちらもIT技術を駆使した次世代の電力網を指しますが、その本質的な機能には決定的な違いがあります。スマートグリッドの主な目的は、電力の供給側と需要側の双方で情報をやり取りし、電力網全体の需給バランスを最適化して効率的な安定供給を実現することにあります。これに対してデジタルグリッドは、流れる電力の一粒一粒に「どこで、いつ、誰が作ったか」という属性情報を付与し、特定の電力を識別して追跡できる点が最大の特徴です。

この識別能力の有無は、電力の価値を大きく変えます。従来のスマートグリッドでは、再生可能エネルギーの導入を促進したり、地域内で電力を融通し合うマイクログリッドを制御したりすることは可能ですが、送電網に混ざった電気の由来を特定して取引することまでは想定されていませんでした。デジタルグリッドは、インターネット上でデータパケットをやり取りするように、電力をデジタル化された情報とともに送受信します。

この仕組みにより、需要家は単に「電気を買う」だけでなく、「特定の太陽光発電所で作られた環境価値の高い電気を選ぶ」という能動的な選択が可能になります。つまり、スマートグリッドが電力網の効率化を目指すインフラ技術であるのに対し、デジタルグリッドは電力に固有の価値を与え、自由な取引を可能にするプラットフォーム技術であるといえます。

デジタルグリッドを支える中核的な仕組み

デジタルグリッドを支える中核的な仕組み

デジタルグリッドの仕組みは、主に「デジタルグリッドルーター(DGR)」と「ブロックチェーン」という2つの中核技術によって支えられています。
まず、発電所に設置されたDGRが、発電元や時刻といった情報を電力にタグ付けします。
そして、需要家側に設置されたDGRがその情報を読み取ることで、電力の出どころを特定します。

さらに、これらの取引記録をブロックチェーン上に記録することで、データの改ざんを防ぎ、透明性と信頼性の高い電力取引を実現する仕組みとなっています。

ブロックチェーン技術で電力取引の透明性と信頼性を確保

デジタルグリッドにおける電力取引では、ブロックチェーン技術が透明性と信頼性の確保に重要な役割を果たします。
ブロックチェーンは「分散型台帳技術」とも呼ばれ、取引データを複数のコンピューターに分散して記録・管理する仕組みです。

この技術を用いることで、「いつ、誰が、誰に、どれだけの電力を売買したか」という取引履歴が改ざん困難な形で記録されます。
これにより、再生可能エネルギー由来の電力を購入したという証明(トレーサビリティ)が確実なものとなり、環境価値の信頼性を担保できます。

電力の生産者を特定するデジタルグリッドルーター(DGR)の役割

デジタルグリッドルーター(DGR)は、電力に情報を付与し、その出どころを識別するための根幹をなす機器です。
家庭用ルーターがデータの送受信を制御するように、このデジタルグリッドルータは電力の流れを制御します。
発電事業者側に設置されたDGRは、発電所の種類や発電時刻などの情報をデータとして電力に同期させ、送電網に送り出します。

需要家側のデジタルグリッドルーターは、送られてきた電力からそのデータを読み取り、「太陽光発電所Aから送られた電力」といった形で生産者を特定する役割を担います。

デジタルグリッドがもたらす4つの主要なメリット

デジタルグリッドの導入は、電力の需要家、供給側、そして社会全体に大きなメリットをもたらします。
需要家は、再生可能エネルギーを電源として直接選択でき、市場価格に応じた柔軟な電力調達でコスト削減を図れます。
供給側である小規模な発電事業者にとっては、電力市場への参入が容易になります。

そして社会全体としては、電力の需給バランスが最適化され、電力システムの安定化に貢献するという、多角的な利点が存在します。

【需要家側】再生可能エネルギー由来の電力を選んで購入できる

需要家にとって最大のメリットは、再生可能エネルギー由来の電力を、発電所を指定して直接購入できる点です。
デジタルグリッドの仕組みを使えば、「A社の太陽光発電所で作られた電力」といった形で、電力の生産者を特定して契約できます。
これは、RE100加盟企業など、環境価値を重視する企業にとって大きな利点となります。

非化石証書を購入する方法と異なり、特定の発電事業者を支援しながら、より直接的な形で再エネ調達を実現できます。

【需要家側】市場連動型の価格で電力コストの削減が期待できる

デジタルグリッドプラットフォームでは、電力の取引価格が30分ごとに変動する市場メカニズムが採用されています。
そのため、需要家は電力価格が安い時間帯に集中的に電力を購入したり、蓄電池を活用したりすることで、全体の電力調達コストを削減できる可能性があります。
従来の固定的な料金プランとは異なり、自社の電力使用パターンを工夫することで、より能動的にコスト最適化を図れる点がメリットです。

AIによる需要予測サービスなどを活用すれば、さらに効率的な電力調達計画の立案も可能になります。

【供給側】小規模な発電事業者でも電力市場へ参入しやすくなる

デジタルグリッドは、小規模な再生可能エネルギー発電事業者にとっても大きなメリットがあります。
従来、小規模事業者が発電した電力は、大手電力会社に固定価格で買い取ってもらうのが一般的でした。
しかし、デジタルグリッドプラットフォームを利用すれば、自ら買主を探し、企業などの需要家と直接、自由な価格で電力を売買できます。

これにより、より有利な条件での収益確保が期待でき、新たなビジネスチャンスが生まれるため、再生可能エネルギーのさらなる普及を後押しします。

【社会全体】電力の需給バランスを最適化し安定供給に貢献する

デジタルグリッドは、社会全体の電力システム安定化にも貢献します。
プラットフォーム上で電力の需要と供給がリアルタイムに可視化され、価格メカニズムを通じて効率的にマッチングされるため、電力の需給バランスが最適化されます。
特に、太陽光や風力といった天候によって出力が変動する再生可能エネルギーの導入が拡大する中で、柔軟な需給調整は不可欠です。

デジタルグリッドは、余剰電力を必要な場所へ融通したり、需要を喚起したりすることで、電力網全体の安定性を高める役割を担います。

日本初の民間電力取引所「デジタルグリッドプラットフォーム」について

デジタルグリッドプラットフォーム(DGP)は、デジタルグリッド株式会社が運営する、日本で初めての民間による自由な電力取引市場です。
このサービスは、再生可能エネルギーを発電する事業者と電力を必要とする企業( need 需要家)を直接つなぎ、オンライン上で電力の売買を可能にします。
企業は、このプラットフォームを通じて、特定の発電所から再生可能エネルギーを直接購入したり、市場価格の安い時間帯を狙って電力を調達したりと、自社のニーズに合わせた柔軟な電力調達を実現できます。

企業間で再生可能エネルギーを直接売買できる仕組み

デジタルグリッドプラットフォームでは、電力の売り手(発電事業者)と買い手(需要家)が、オンライン上の取引システムを通じて30分単位で個別に電力の売買契約を結びます。
売り手は希望する売電価格を提示し、買い手は複数の売り手のオファーの中から自社の希望に合う電源や価格を選んで購入を決定します。
この相対取引により、従来の電力会社を介さず、当事者間で合意した価格と条件で直接取引が成立します。

再生可能エネルギーを特定の発電所から調達したい需要家と、安定した売電先を確保したい発電事業者のニーズを直接結びつける仕組みです。

大手企業も導入!実際の活用事例を紹介

デジタルグリッドプラットフォームは、環境経営を推進する多くの大手企業に導入されています。
例えば、大手百貨店の高島屋は、複数の店舗において使用電力の一部をこのプラットフォーム経由で再生可能エネルギーに切り替え、環境価値の高い電力調達を実現しました。
また、東急不動産では、自社で保有する再生可能エネルギー発電所の電力を、管理・運営する商業施設へ供給する「自己託送」の仕組みにこのプラットフォームを活用し、再エネの地産地消とコスト管理を両立させています。

これらの事例は、事業内容に合わせて柔軟な再エネ調達が可能であることを示しています。

デジタルグリッドプラットフォームを利用した電力調達の始め方

デジタルグリッドプラットフォームを利用した電力調達の始め方

デジタルグリッドプラットフォームを通じた電力調達を開始するには、まずサービス提供事業者への問い合わせから始まります。
自社の電力使用状況や再エネ調達に関する目標などを伝え、コンサルティングを受けた上で契約へと進むのが一般的な流れです。
従来の電力契約とは料金体系やリスク管理の方法が異なるため、導入前にその仕組みを十分に理解しておくことが重要です。

ここでは、具体的な契約形態の違いや導入ステップ、注意点について解説します。

従来の電力契約と料金体系はどう違うのか

従来の電力契約は、電力会社が設定した固定単価の料金メニューが一般的でした。
一方、デジタルグリッドプラットフォームでは、電力の取引価格が30分ごとに変動する「市場連動型」が基本です。
料金は、プラットフォーム上で取引される電力の市場価格に加え、送電網の利用料である「託送料金」や各種手数料などで構成されます。

そのため、電力調達コストは市場価格の動向に左右されることになりますが、価格が安い時間帯に購入することでコストを抑えることも可能な、より柔軟性の高い料金体系となっています。

契約から電力供給開始までの具体的な3ステップ

デジタルグリッドプラットフォームの利用開始までは、主に3つのステップで進みます。
問い合わせ・シミュレーション:まず、デジタルグリッド株式会社などのサービス提供事業者に連絡し、自社の電力使用量データなどを基に、コスト削減効果や再エネ調達に関するシミュレーションを受けます。
契約手続き:提案内容に合意後、プラットフォーム利用に関する契約を締結します。同時に、電力の供給者を切り替えるための手続きを進めます。

取引開始:契約手続きとスマートメーターの設置が完了すれば、プラットフォーム上での電力取引を開始できます。取引開始後は、管理画面から電力の使用状況や取引実績などを確認可能です。

「インバランスリスク」を解消する仕組みとは?

電力取引では、30分単位の電力需要計画と実績の間に生じた差分(インバランス)に対して、ペナルティ料金が課される「インバランスリスク」が存在します。
デジタルグリッドプラットフォームでは、このリスクを低減するための仕組みが提供されています。
例えば、AIを活用した高精度な電力需要予測サービスにより、計画と実績のズレを最小限に抑えます。

万が一、計画に対して電力が不足した場合は、プラットフォームが自動的に他の電源から不足分を補給する機能もあり、利用企業がインバランス料金の負担を直接負うリスクを回避できるようになっています。

デジタルグリッドに関するよくある質問

ここでは、デジタルグリッドの導入を検討する際に、多くの企業担当者から寄せられる質問とその回答をまとめました。

家庭用の電力契約でもデジタルグリッドは導入できますか?

現時点では、デジタルグリッドのサービスは主に法人向けとなっており、一般家庭用の電力契約で導入することは困難です。
将来的には、家庭の太陽光発電で生まれた余剰電力を近隣の需要家と直接売買するなど、個人間での電力取引への活用が期待されています。

デジタルグリッドを利用すると、電気料金はどのくらい安くなりますか?

一概には言えませんが、電力市場の価格が安い時間帯に購入をシフトしたり、発電事業者と有利な条件で直接契約したりすることで、従来の契約より電気料金を削減できる可能性があります。
ただし、市場価格は常に変動するため、自社の電力使用状況に合わせた運用が重要です。

デジタルグリッドが社会に普及する上での課題は何ですか?

主な課題として、電力の識別・制御に必要なデジタルグリッドルーター等の設備導入コスト、既存の巨大な電力系統とのシステム連携、そして電力取引におけるサイバーセキュリティの確保が挙げられます。
また、多くの事業者が参加する流動性の高い市場の形成も不可欠です。

まとめ

デジタルグリッドは、電力に発電元などの情報を付与して識別し、企業間の直接取引を可能にする次世代の電力流通技術です。
この仕組みを活用した「デジタルグリッドプラットフォーム」は、再生可能エネルギーの調達手段を多様化し、企業の脱炭素経営を後押しします。
また、市場原理に基づいた柔軟な電力調達により、コスト最適化にも貢献します。

インバランスリスクを低減する仕組みも備わっており、企業が再生可能エネルギーを主体的に選択するための新しい選択肢となっています。

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