積水化学工業は2026年3月、次世代のペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL(ソラフィル)」の事業を世界に先駆けて開始しました。
この新しい太陽電池は、従来のシリコン系とは異なり、「薄い・軽い・曲がる」という特徴を持ち、これまで設置が難しかった場所への展開が期待されています。
国産技術によるエネルギー問題解決への貢献にも注目が集まる、この新しいペロブスカイト太陽電池の動向を解説します。
Contents
積水化学、次世代太陽電池「ソラフィル」の事業を本格的に開始
積水化学工業は、桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授が発明した技術を基に、京都大学などの研究機関と連携して開発を進めてきました。
長年の研究開発を経て、2026年3月28日に世界初となるフィルム型ペロブスカイト太陽電池の事業化を発表しました。
ブランド名「ソラフィル」は、「Solar(太陽)」と「Film(フィルム)」を組み合わせ、太陽の恵みで社会や生活を「Fill(満たす)」という想いが込められています。
独自の「封止技術」により屋外での長期使用を可能にし、商用化への道を切り拓きました。
薄くて軽く曲げられる「ソラフィル」が拓く新たな設置可能性
ソラフィルの最大の特徴は、ガラス基板を使わないフィルム型であるため、厚さ約1mm、重さはシリコン系の10分の1程度という軽さと柔軟性です。
この特性により、従来の太陽光パネルでは荷重の問題で設置できなかった工場の屋根や体育館、ビル壁面、さらには曲面といった多様な場所への設置が現実のものとなります。
このフィルム状の太陽電池は、建物のデザイン性を損なうことなく、都市部の限られたスペースを有効活用する新たな可能性を提示しています。
2026年度は自治体向けに先行供給、量産化に向けた今後の展望
2026年度の生産は限定的であり、まずは東京都やさいたま市などの自治体、および西日本高速道路(NEXCO西日本)といった特定の事業者向けに先行供給されます。
現在の発電変換効率は約15%ですが、2028年度には20%超を目指して開発が継続されます。
積水化学は2027年度に100MW級の量産体制を整え、さらに2030年までには原子力発電所1基分に相当する1GW級の生産能力を確立する計画を掲げており、本格的な市場拡大を見据えています。
国産技術がエネルギー問題に貢献、市場からの期待と将来性
ソラフィルの主原料の一つであるヨウ素は、日本の産出量が世界第2位であり、資源を海外に依存しない純国産のエネルギー源として期待されています。
この素材の強みは、エネルギー自給率の向上や経済安全保障に直結します。
政府もこの技術を重視しており、経済産業省の「GXサプライチェーン構築支援事業」に採択されるなど、国策としての後押しも受けています。
日本発の革新技術として、国内外のエネルギー市場に大きな影響を与える可能性があります。
ペロブスカイト太陽電池「ソラフィル」に関するよくある質問
積水化学工業が事業を開始したペロブスカイト太陽電池「ソラフィル」について、価格や耐久性、購入方法など、多く寄せられる質問に回答します。
ソラフィルの価格はいくらですか?
ソラフィルの価格は現在、公式には発表されておらず、設置場所や規模に応じて個別に見積もり・協議されます。
主原料のヨウ素など、安価な素材で製造できるため、将来的に量産化が進めば、既存の太陽電池と同等かそれ以下のコストになることが期待されています。
耐久年数や製品寿命はどのくらいですか?
ソラフィルの耐久年数は約10年とされています。
これはシリコン系太陽電池の20~30年に比べると短いですが、軽量で設置場所を選ばないという大きな利点があります。
積水化学は、発電変換効率の向上と共に、さらなる長寿命化に向けた研究開発も進めています。
個人でも購入することはできますか?
現時点(2026年度)で個人が購入することは困難です。
供給は東京都などの自治体や特定の事業者に限定されています。
将来的には量産化に伴い、一般住宅の屋根やベランダなどでの利用も期待されますが、当面は公共施設や大規模建築物への導入が優先される見込みです。
まとめ
積水化学工業が事業化した「ソラフィル」は、「薄い・軽い・曲がる」という特性を持つ革新的なフィルム型ペロブスカイト太陽電池です。
これまで設置が困難だった場所への導入を可能にし、エネルギーの地産地消を促進します。
国産技術としてエネルギー自給率向上への貢献も期待されており、2027年度からの量産化を経て、今後の社会実装が本格化していく見通しです。