カーボンニュートラルとは?企業の取り組み事例から家の対策まで
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする世界的な取り組みです。
この記事では、言葉の意味から、企業や家庭でできる対策までを網羅的に解説します。
カーボンニュートラルへの取り組みは、地球温暖化対策だけでなく、企業の新たな成長機会にも繋がります。
トヨタやセブン&アイ、Apple、日本製鉄といった大企業も既に取り組み事例を公表しており、社会全体で対策を進めていく必要があります。
Contents
カーボンニュートラルとは?基本的な意味をわかりやすく解説
カーボンニュートラルとは、経済活動などで排出される温室効果ガスの「排出量」と、植林や森林管理などによる「吸収量」の合計をプラスマイナスゼロの状態にすることを意味します。
この「実質ゼロ」という考え方が、カーボンニュートラルの仕組みを理解する上で重要なポイントです。
完全に排出をなくすのではなく、排出した分を吸収または除去することで、地球温暖化の原因となる大気中の温室効果ガス濃度の上昇を抑えることを目指します。
わかりやすく言えば、蛇口から出る水の量(排出量)と、排水溝から流れる水の量(吸収量)を同じにして、浴槽の水位(大気中の温室効果ガス濃度)を一定に保つイメージです。
温室効果ガスの排出量と吸収量を「実質ゼロ」にする仕組み
カーボンニュートラルの仕組みは、CO2(二酸化炭素)をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林などによる吸収量を差し引いて、合計をゼロ(ネットゼロ)にすることです。
これをネット・ゼロエミッションとも呼びます。
排出量を減らす努力を最大限に行なった上で、どうしても排出しなければならない炭素については、植林活動やCO2を吸収する技術によって相殺します。
これにより、排出量が吸収量を上回らない状態を維持し、大気中の温室効果ガス濃度を安定させることが目標です。
製品の廃棄を減らすリサイクルや、資源を循環させるサーキュラーエコノミーの推進も、排出量をマイナスにするための重要な要素となります。
「脱炭素」「カーボンオフセット」との意味の違い
「脱炭素」とは、CO2の排出量そのものをゼロにすることを目指す考え方です。
一方、カーボンニュートラルは排出が避けられない分を吸収・除去することで「実質的」にゼロを目指す点で異なります。
また、「カーボンオフセット」は、自らの排出量のうち削減が困難な部分を、他の場所での排出削減・吸収活動(植林、クリーンエネルギー事業など)への投資やクレジット購入によって埋め合わせる(オフセットする)手法を指します。
カーボンニュートラルを実現するための具体的な手段の一つがカーボンオフセットであると理解すると良いでしょう。
これら用語は混同されやすいですが、脱炭素社会の実現に向けたアプローチの違いとして整理することが重要です。
なぜ今、カーボンニュートラルが世界的に必要なのか?
今、カーボンニュートラルが世界的に必要な理由は、地球温暖化の進行を食い止め、深刻化する気候変動の影響を回避するためです。
産業革命以降、人間活動によって排出された温室効果ガスが原因で温暖化が進み、異常気象の頻発や海面水位の上昇といった悪影響が世界中で起きています。
このまま対策を講じなければ、自然生態系や私たちの生活にさらに大きな問題やリスクをもたらすことが予測されます。
気候変動はもはや猶予のない地球規模の課題であり、その解決策として、原因となる温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現が国際社会共通の必要性として認識されています。
カーボンニュートラル達成に向けた国内外の目標と動向
カーボンニュートラルの達成は、パリ協定で定められた「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて1.5℃に抑える」という目標を達成するための重要な目的です。
この目標を考える上で、世界各国はそれぞれの国情に応じた削減目標を設定し、具体的な取り組みを進めています。
国際社会全体で協力し、技術開発や政策導入を通じて温室効果ガスの削減を加速させているのが現状です。
企業や自治体、個人といったあらゆる主体がカーボンニュートラルを達成するために行動を起こすことが求められています。
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル宣言」とは
日本政府は2020年10月、「2050年カーボンニュートラル宣言」を表明しました。
これは、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指すという宣言です。
この目標達成のため、政府は経済と環境の好循環を創出する「グリーン成長戦略」を策定し、具体的な政策を進めています。
経済産業省や環境省、資源エネルギー庁、林野庁といった関係省庁が連携し、再生可能エネルギーの導入拡大や省エネ技術の開発支援などに取り組んでいます。
また、地球温暖化対策推進法も改正され、目標達成に向けた法的な枠組みも整備されました。
宣言がいつから実行されるかについては、既に2021年度から関連施策が始まっており、2025年や2026年に向けた中間目標も設定されています。
世界各国の目標達成に向けた取り組み状況
世界各国もカーボンニュートラル達成に向けて高い目標を掲げています。
欧州連合(EU)は2050年までの実質ゼロを法制化し、2030年までに1990年比で55%削減という野心的な中間目標を設定しました。
米国も2050年までの実質ゼロを目標とし、2030年までに2005年比で50〜52%削減を掲げています。
中国は2060年までのカーボンニュートラル達成を表明しました。
タイなどアジア諸国でも取り組みが加速しています。
また、企業単位では、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際イニシアチブ「RE100」への加盟が世界的に拡大しており、産業界全体の脱炭素化を後押ししています。
日本も2030年度に2013年度比で46%削減という目標を掲げ、1.5℃目標の達成に貢献する姿勢を示しています。
企業がカーボンニュートラルに取り組むべき3つの理由とメリット
企業がカーボンニュートラルに取り組むことには、社会貢献だけでなく、事業成長に直結するメリットがあります。
第一に、ESG投資の拡大により、環境への配慮が企業の資金調達能力に大きく関係するようになりました。
第二に、環境意識の高い消費者や求職者が増える中で、ブランドイメージの向上や優秀な人材の獲得に繋がります。
第三に、省エネルギーの推進は光熱費や燃料費の削減に直結し、コスト競争力を高める効果が期待できます。
これらの理由から、多くの会社にとってカーボンニュートラルへの対応は、持続的な経営に不可欠な要素となっています。
ESG投資で評価され資金調達が有利になる
近年、企業の環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への配慮を重視して投資先を選ぶ「ESG投資」が世界の潮流となっています。
日本においても年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG投資を推進するなど、その市場規模は2020年には2兆874億ドル(約310兆円)に達しています。
カーボンニュートラルへの取り組みは、企業の環境(E)側面における重要な評価項目です。
積極的に取り組む企業は、投資家から「気候変動リスクへの対応力が高く、持続的な成長が見込める」と評価され、株価の上昇や有利な条件での融資に繋がりやすくなります。
企業のブランドイメージ向上と人材獲得への貢献
カーボンニュートラルへの取り組みは、企業の社会的責任(CSR)を果たす姿勢を示すことになり、ブランドイメージの向上に直結します。
環境問題への意識が高い消費者からの共感を得ることで、製品やサービスの選択において有利に働くことが期待できます。
また、就職活動においても、企業の価値観や社会貢献度を重視する学生が増加しています。
持続可能な社会の実現に貢献する企業としてのイメージは、優秀な人材を惹きつけ、採用競争において大きなアドバンテージとなります。
光熱費や燃料費などのコスト削減につながる
カーボンニュートラルを目指す過程で実施される省エネルギー対策は、CO2削減だけでなく、直接的なコスト削減にもつながります。
例えば、工場の生産設備を高効率なものに更新したり、LED照明を導入したり、社用車を燃費の良い車両や電気自動車に入れ替えたりすることで、電力消費量や燃料の使用量を削減できます。
これにより、毎月の光熱費や燃料費が低減され、企業の利益率改善に貢献します。
エネルギー価格の変動リスクを低減させる効果も見込めるため、経営の安定化にも寄与します。
【企業向け】カーボンニュートラル実現に向けた5つの具体的な取り組み
企業がカーボンニュートラルを実現するためには、段階的かつ計画的なアプローチが不可欠です。
まず自社の排出量を正確に把握し、具体的な削減目標を設定するロードマップを作成することから始まります。
その上で、再生可能エネルギーの導入や生産プロセスの効率化といった具体的なソリューションを実行に移していきます。
取り組みが難しいと感じる場合は、専門のコンサルティングサービスや自治体が開催するセミナー、イベントなどを活用するのも有効な方法です。
排出量削減の取り組みは、第三者機関による認証を受けることで、対外的な信頼性を高めることもできます。
自社のCO2排出量を「見える化」して現状を把握する
カーボンニュートラルへの第一歩は、自社がどれだけの温室効果ガスを排出しているかを正確に把握する「見える化」です。
排出量は、自社での燃料使用による直接排出(Scope1)、他社から供給された電気・熱の使用に伴う間接排出(Scope2)、そして事業活動に関連する他社の排出(Scope3)に分類されます。
これらの排出量を算定し、どの部門や活動からの排出割合が高いかを分析することで、効果的な削減策を立案するための基礎データが得られます。
近年では、排出量を自動で算定・管理できるクラウドサービスも登場しています。
太陽光発電など再生可能エネルギーを導入する
CO2排出量を削減する上で最も効果的な方法の一つが、再生可能エネルギーの導入です。
自社の屋根や敷地に太陽光発電システムを設置すれば、発電した電気を自家消費でき、電力会社から購入する電気の量を減らせます。
余剰電力を売電することも可能です。
初期投資を抑えたい場合は、PPA(電力販売契約)モデルを活用し、事業者の負担で太陽光発電設備を設置してもらう方法もあります。
太陽光だけでなく、風力や地熱、バイオマス発電といった再エネも選択肢となります。
また、水素やアンモニア、合成メタン(メタネーション)といった次世代燃料や、燃料電池の活用も、従来の火力発電や天然ガスからの転換を進める上で重要です。
生産プロセスを見直し省エネルギーを徹底する
製造業においては、工場など生産プロセスでのエネルギー消費が排出量の大きな割合を占めます。
そのため、生産ラインの効率化や省エネ設備の導入が不可欠です。
例えば、古いモーターを最新の高効率なものに交換したり、断熱材を強化して熱損失を防いだり、エネルギー消費の少ない製造方法を開発したりすることが挙げられます。
また、製品の設計段階からリサイクルしやすい素材を選ぶ、サプライチェーン全体で輸送効率を改善するなど、事業活動のあらゆる側面で省エネルギーを徹底することが求められます。
特に排出量の多い化学、コンクリート、製鉄(鉄鋼)といった素材産業や農業分野では、革新的な技術開発が期待されています。
J-クレジット制度を活用して排出量を相殺する
省エネ努力や再エネ導入を最大限行っても、どうしても削減しきれない排出量については、J-クレジット制度の活用が有効な手段です。
J-クレジット制度とは、省エネ設備の導入や森林管理などによるCO2排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。
企業は市場からこのクレジットを購入することで、自社の排出量を相殺(オフセット)したと見なされます。
これにより、カーボンニュートラルの目標達成に貢献できるだけでなく、クレジットの購入を通じて国内の温暖化対策プロジェクトを支援することにも繋がります。
植林や森林保護活動で吸収量を増やす
カーボンニュートラルは排出量を減らすだけでなく、CO2の吸収量を増やすことも重要です。
その代表的な取り組みが、植林や適切な森林管理による森林保護活動です。
樹木は光合成によって大気中のCO2を吸収し、炭素として内部に固定する働きがあります。
企業が自ら植林活動を行ったり、森林保護活動を行うNPOや団体を支援したりすることで、社会全体のCO2吸収量を増やすことに貢献できます。
自社の事業活動と関連付けた植林プロジェクトなどを実施することで、環境貢献活動として対外的にアピールすることも可能です。
【個人向け】家庭でできるカーボンニュートラルのためのアクション
カーボンニュートラルは、国や企業だけの問題ではなく、私たち一人ひとりのライフスタイルの見直しも不可欠です。
家庭からのCO2排出量を減らすためには、日常生活の中での小さな選択が重要になります。
例えば、移動手段を見直し、近距離は徒歩や自転車を利用したり、公共交通機関を積極的に使ったりするだけでも効果があります。
車を利用する場合は、環境負荷の少ないEVへの乗り換えが、運輸部門全体の排出量削減に大きく貢献します。
航空分野でもSAFの導入が進められており、個人の意識と行動が社会を変える力となります。
省エネ性能の高い家電に買い替えて電力消費を抑える
家庭における電力消費の大部分を占めるのが、エアコン、冷蔵庫、照明などの家電製品です。
古い家電を省エネ性能の高い最新モデルに買い替えることは、効果的なCO2削減策の一つです。
特に消費電力の大きいエアコンや冷蔵庫は、技術の進歩によって省エネ性能が大きく向上しており、買い替えるだけで年間の電気代とCO2排出量を大幅に削減できます。
購入時には、省エネ性能を示すラベルなどを参考に、よりエネルギー効率の良い製品を選ぶことが推奨されます。
再生可能エネルギー由来の電力プランに切り替える
電力自由化により、消費者は自分の価値観に合った電力会社や料金プランを選べるようになりました。
電力会社の中には、太陽光や風力といった再生可能エネルギー由来の電気を100%供給するプランを提供している事業者もあります。
このようなプランに切り替えることで、家庭で使う電気が実質的に再生可能エネルギー由来となり、CO2排出量をゼロにすることが可能です。
電気料金が割高になる場合もありますが、環境貢献を身近に実践できる有効なアクションです。
ZEH(ゼッチ)住宅など断熱性能の高い住まいを選ぶ
住まいのエネルギー効率を高めることも、カーボンニュートラルに大きく貢献します。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、住宅の断熱性能を大幅に向上させるとともに、高効率な設備や再生可能エネルギーを導入することで、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅です。
断熱性能の高い住まいは、冷暖房の効率が良くなるため、少ないエネルギーで夏は涼しく冬は暖かく過ごすことができ、光熱費の削減にも繋がります。
新築やリフォームの際には、断熱性能を重視した住まいを選ぶことが、長期的な視点でのCO2削減に不可欠です。
こうした取り組みは、個々の建築だけでなく、持続可能なまちづくりにも貢献します。
カーボンニュートラルに関するよくある質問
ここでは、カーボンニュートラルに関して頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめました。
法律による罰則の有無や、中小企業の取り組みの必要性、費用に関する補助金など、実践する上での疑問点を解消します。
カーボンニュートラルは不要であるという意見もありますが、気候変動のリスクを考慮すると、社会全体で取り組むべき課題であるという認識が国際的なコンセンサスとなっています。
カーボンニュートラルに罰則や法的な義務はありますか?
現時点(2024年時点)で、日本において企業のカーボンニュートラル未達成に対する直接的な罰則を定めた法律はありません。
しかし、地球温暖化対策推進法に基づき、温室効果ガスを多量に排出する事業者には排出量の報告義務が課されています。
また、将来的に炭素税(カーボンプライシング)などの規制が導入される可能性は十分に考えられます。
中小企業でもカーボンニュートラルに取り組むべきでしょうか?
取り組むべきです。
サプライチェーン全体での排出量削減が求められる中、大企業は取引先の中小企業にもCO2削減を要請するケースが増えています。
対応が遅れると取引機会を失うリスクもあります。
千葉県など自治体によっては中小企業向けの相談窓口や支援制度を設けており、推進を後押ししています。
コスト削減や企業価値向上といったメリットも期待できます。
取り組みにかかる費用はどのくらいですか?
費用は、省エネ設備の導入や再生可能エネルギー設備の設置など、取り組みの内容や規模によって大きく異なります。
初期投資が必要になる場合が多いですが、国や自治体は企業の脱炭素化を支援するため、様々な補助金や税制優優遇措置を用意しています。
これらを活用することで、実質的な負担を軽減しながら取り組みを進めることが可能です。
まとめ
カーボンニュートラルは、気候変動という地球規模の課題に対応し、持続可能な未来を築くための世界共通の目標です。
その実現には、政府の政策や企業の技術革新だけでなく、私たち一人ひとりのライフスタイルの変革も求められます。
企業にとってはコストや課題だけでなく、新たな事業機会や競争力強化のチャンスともなり得ます。
社会全体でこの動きを加速させ、次世代のために低炭素社会への移行を成し遂げていく必要があります。
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