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排出量取引制度とは?義務化される?制度や対象企業を解説!-産業用太陽光発電の一括見積もりサイト

排出量取引制度とは?義務化される?制度や対象企業を解説!

排出量取引制度とは

排出量取引制度とは、国や企業間で定められた二酸化炭素の排出枠を取引できる制度のことです。それぞれの制度によっても変わりますが、メジャーな方法としては国や企業ごとに二酸化炭素排出量の上限を決め、その排出量を超過した国や企業は、排出枠を余った別の国や企業から購入するといった制度になっています。排出量に制限を設けて、取引可能にすることで、二酸化炭素排出を抑えることへの経済的なインセンティブを設けて、企業の二酸化炭素の排出削減を促す効果を期待されています。

このように、排出される炭素に値段をつけて、経済的な働きによって二酸化炭素排出量を削減しようとする手法をカーボンプライシングと言います。カーボンプライシングには明示的カーボンプライシングと暗示的カーボンプライシングが存在します。排出量取引制度のような、炭素に対して直接税金を課す制度のことを明示的カーボンプライシングと呼びます。

一方で、炭素排出量に直接課税しないものの、エネルギー課税や省エネ規制によって間接的に温室効果ガスの排出にコストを与える仕組みを暗示的カーボンプライシングと言います。

排出量取引の現状

排出量取引制度が制定されるきっかけとなったのは、1997年の京都議定書です。京都議定書は先進国の温室効果ガスの排出削減を義務付けた国際条約で、先進国全体で5.2%、日本で6%の削減目標をガスの削減目標が課されました。目標が制定されたことを受け、それを実現するための政策として、EUを中心に制度が整備され、世界に広がっていきました。

排出量取引制度はEUや中国、カナダが導入を開始し、日本でも2005年から完全自主参加性の試験的な制度の導入を開始し、2011年には埼玉県と東京都で限定的に導入されております。排出量取引制度は日本全体ではまだ導入されていませんが、2026年度からの導入を目指して準備が進められています。

GX-ETSは?

GX-ETSとは、日本が推進する「GXリーグ」における排出量取引制度で、2023年から企業の自主的な参加を条件に試験的に導入され、来年度である2026年度から本格的な義務化が始まります。GXリーグとは2050年のカーボンニュートラル実現を目指して、GX(グリーントランスフォーメーション)を牽引する枠組みのことです。官・学・金で連携し、経済成長と社会システムの両立を目指すための具体的な取り組み(排出量取り組み制度など)を実施しています。

GX-ETSの目的はこれまで企業の活動に伴うCO2排出という環境コスト(外部不経済)を経済活動の内部に取り込むことにあります。3フェースに分かれて導入を予定されていて、第1フェーズ(2023~2025年度)は GXリーグに参加する企業が自主的に取り組む制度で、2フェーズ(2026年度~):からは義務が発生し年間の直接排出量が10万トンCO2相当以上の約300〜400社の企業が主な対象となります。

また、算定した排出量の第3者承認が必要になります。そして、2033年度以降の第3フェーズでは発煙部門に対する排出枠の段階的な有償化など、さらなる制度的な強化が予定されています。

排出量取引の方式

排出量取引の方式は主に2つの形式に分かれています。それぞれ説明していきます。

キャップアンドトレード

政府が定めた温室効果ガスの排出上限から策定した排出枠を企業や自治体に設定し、その排出枠を企業や自治体間でトレードする方式のことを指します。排出量が目標に向けて管理されるので、強制力が強く高い目標達成力があります。EUや東京都で導入されている排出量取引制度がこちらの方式に当たります。

ベースラインアンドクレジット

プロジェクトを実施しなかった場合の仮想の排出量(ベースライン)を設定し、ベースラインと実際に排出した二酸化炭素の差分をクレジットとして承認し取引する方式のことです。こちらは、キャップアンドトレード方式に比べて強制力が弱いですが、企業や自治体が自主的に削減努力に取り組めるよう促せます。企業が削減した二酸化炭素量をクレジットとして取引可能にしたJクレジット制度がこちらの方式の代表例となります。

排出量取引の流れ

排出量取引制度の詳細は制度によっても変わりますが、ここでは大まかに流れを紹介していきます。

排出枠の設定

まず政府や自治体が、対象となる部門(電力、運輸、建築など)全体に対して、合計で排出してよい温室効果ガス量を年度ごとに設定します。その後、排出量取引制度の対象となる事業所ごとに排出枠を割り当てます。割り当て方は大きく3つ存在します。

ベンチマーク方式

業種ごとに製品や生産量あたりの標準的な二酸化炭素排出量をベンチマークとして策定し、その基準委基づいて各事業者の排出枠を決定する方法のことです。エネルギー効率がいい企業ほど経済的なインセンティブがあるので公平な制度といえます。

グランドファザリング

過去数年間の平均排出実績を基準排出量として、そこから排出枠を決定していく方法のことです。企業はこれまでの排出パターンから排出枠を決定されるので、制度導入初期の企業負担を減らせるという利点がありますが、過去に排出削減をしてきた企業にとって不利になるという課題もあります。

オークション方式

市場に出品された排出枠を、企業が文字通りオークションのように競り落とすことで、排出枠を取得する仕組みです。排出枠の価格が需要と供給で決まるので、企業間の競争を促し、社会全体で費用が効率化されます。また、入札形式のため、排出枠の透明性と公平性は担保されます。

実際に二酸化炭素排出量を減らす

決められた排出枠内に収めるために、省エネ設備の導入・再生可能エネルギーの導入、プロセスの改善などを行い、年間の二酸化炭素排出量を決められた上限のうちに収めます。

排出した二酸化炭素の算定・検証・報告

年度中にガイドラインに従って、企業活動で排出した二酸化炭素を算定します。算定した数値は政府機関に登録されている、第三者機関を使って検証を行う必要があります。現行の東京都や埼玉県で実施されている制度では温室効果ガス審査協会などが排出量の検証や認証を行っています。検証を終えた排出量は政府当局に提出します。現行の制度では、環境省や経産省が報告先となっています。

排出量の取引

排出量の報告を終えた結果、排出量が上限を超えた企業は、排出枠が余っている企業から排出枠を購入します。逆に削減量が多く、排出枠が余っている企業は余ったは排出枠を売却することができます。

罰則

上限を超えた分の排出量を調達できなかった場合は制度によって罰則が発生します。2026年度から正式に開始されるGX-ETSでは二酸化炭素排出量が、目標未達成企業に対しては、不足枠の1.3倍の罰金が科されます。

排出量取引制度のメリット

排出量取引制度に取り組むことは、余った排出枠を売ることができるので企業にとって経済的メリットがあります。また、二酸化炭素排出量を削減する過程で、省エネや資源節約に取り組むことで、コストカットを行うことも可能です。

排出量取引制度の課題

排出量取引制度の課題について説明していきます。

カーボンリーケージ

カーボンリーケージとは、温室効果ガス排出削減の規制が緩やかな国へ、工場や事業所を移転することで、結果として二酸化炭素排出量が減らない、もしくは増加してしまう現象のことを指します。排出量取引制度でいくら国内のCO2排出を規制しても、規制が緩やかな国へ拠点を移動してしまえば、本来の目的を達成できない可能性があります。EUでは対策として、リーケージの恐れがある産業の種瀬てうに対して、排出枠をあらかじめ多く割り当てる方法をとっています

排出枠の設定の難しさ

排出枠の設定を厳しくしすぎると、企業のコストが増加し国際競争力が落ちる場合があります。しかし、排出枠を緩くしすぎると排出削減努力をしなくなり実効性が低くなります。また、業種ごとにどうCO2を走ゆつするか異なるため、公平な枠の設定も難しいです。

実際の事例紹介

排出量取引制度について、東京都、埼玉県、EUの3つに分けて事例を紹介いたします。

東京都のETS

東京都は2010年4月から大規模事業所を対象に「総量削減義務と排出量取引制度(キャップ&トレード制度)」としてスタートしました。対象となる事業者は3か年度連続してエネルギー使用量が、年間1500kl以上の事業者になります。対象となる事業者は、基本排出量に対して一定の削減率を課されます。削減目標と区分は以下の表のとおりです。

区分 第3計画期間
Ⅰ-1 オフィスビル等 27%
Ⅰ-2 オフィスビルのうち他人から供給された熱に係るエネルギーを多く利用している事業所 25%
工場等 25%

埼玉県のETS

埼玉県でも同様に、大量に温室効果ガスをを排出している企業に対して削減目標を定めた排出量取引制度が適用されています。対象となるのは東京都と同じく原油換算155KL以上を3年度連続で使用している事業所となります。ただし、東京都とは削減目標が違います。また、東京都で実施されている排出量取引制度と連携しており、東京都で創出されたクレジットを「東京連係クレジット」として、埼玉県の制度内で、一定の量まで使用できます。

区分 第3計画期間
第1区分① オフィスビル、商業施設、病院など 22%
第1区分② 上記のうち事業所から供給された熱が使用エネルギーの2割以上となる事業所 20%
第2区分 工場、廃棄物施設、像下水道施設 20%

EUの排出量取引制度

EUのETS(排出量取引制度)について紹介します。2005年に世界で初めて導入されたETSで、EU域内の排出量の約4割をカバーする最も歴史のある排出量取引制度として、他国のモデルにもなっています。EU全体で排出量の上限を決め、発電、鉄鋼、石油、航空など温室効果ガスを多く輩出しているセクターを対象に、排出枠を決定します。

排出枠の分配方法はオークションによる有償割り当てとなっています。以前は、無償割り当てが原則でしたが、制度が改正されていき、第4フェーズである今はオークションでの割り当てが通常の方法となっています。全4フェーズに分かれて導入されており、2025年現在は大4フェーズに当たります。第4フェーズでは対象部門もさらに拡大し、2024年1月から海運業も追加されました。

2027年度からはEU-ETSⅡが導入される予定で、制度の適用対象者は大規模排出施設を持つ事業者ですが、EU-ETSⅡでは対象部門の上流の燃料供給業者に負担を課す設計となります。また、燃料供給事業者がEU-ETSⅡの負担コストの増加を販売金額に上乗せする可能性も考えられます。その場合、貧困世帯がエネルギーや交通へのアクセスが難しくなる可能性も考えられるので、そういった人々を応援する「社会機構基金」も同時に設置します。

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