国は、事業用太陽光発電の一部に対する補助制度の方針を大きく転換しました。
2027年度から、地上に設置する太陽光発電は国の固定価格買取制度(FIT)やFIP制度の対象外となることが決定しました。
この変更は、今後の太陽光発電事業に大きな影響を与えるため、正確な情報の把握と適切な対策が不可欠です。
本記事では、制度廃止の具体的な内容、影響を受ける範囲、そして今後の事業の選択肢について詳しく解説します。
Contents
【結論】2027年度から地上設置型(野立て)太陽光発電のFIT/FIP制度は廃止へ
2027年度以降、地上に設置される事業用太陽光発電は、FIT(固定価格買取制度)およびFIP(フィードインプレミアム)制度の新規認定の対象から外れます。
これは、国の売電支援を受けながら地上設置型の太陽光発電事業を新たに開始することが、原則としてできなくなることを意味します。
この決定は、今後のエネルギー政策と太陽光発電事業のあり方における重要な転換点となります。
廃止の対象は50kW未満を含む全ての「地上設置型」
今回の制度変更で廃止の対象となるのは、設置場所が「地上」である全ての事業用太陽光発電です。
これには、これまで低圧案件として扱われてきた50kW未満の小規模な野立て太陽光発電から、メガソーラーと呼ばれる大規模な発電所まで、出力規模に関わらず全て含まれます。
田畑などの農地を利用して発電設備を設置する、ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)も同様に対象となります。
2026年度が新規認定のラストチャンス!駆け込み申請のポイント
2027年度からの制度廃止が決定したため、FIT/FIP制度を利用して地上設置型の太陽光発電事業を始めるには、2026年度中に事業計画認定の申請を完了させる必要があります。
これが実質的な最後の機会となります。
事業計画の認定申請には、土地の確保や電力会社との接続契約、各種許認可の取得など、多くの準備と時間を要します。
そのため、制度の活用を検討している場合は、速やかに準備を開始することが重要です。
期限間近は申請が集中することも予想されるため、余裕を持ったスケジュールで進める必要があります。
制度廃止の背景にある国民負担の増大と地域との共生問題
国が地上設置型への補助廃止を決定した背景には、主に二つの理由があります。
一つは、国民負担の増大です。
FIT制度の原資は、毎月の電気料金に上乗せされる「再生可能エネルギー発電促進賦課金」というお金であり、この負担額が増え続けていることが課題となっていました。
もう一つは、地域との共生問題です。
一部の野立て太陽光発電所において、景観の悪化、土砂災害のリスク、管理放棄といった問題が発生し、地域住民とのトラブルに発展するケースが社会問題として顕在化したことも、国の方針転換を後押ししました。
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制度廃止による影響範囲をケース別に解説
今回の制度廃止は、全ての太陽光発電事業者に等しく影響を及ぼすわけではありません。
すでに事業を運営している事業者と、これから新規で検討する事業者、また設置する場所によって影響の有無が異なります。
ここでは、すでに認定を受けている発電所と、建物の屋根に設置するケースに分けて、それぞれの影響範囲を具体的に解説します。
【影響なし】認定済みの既存発電所は売電価格が20年間維持される
既にFIT/FIPの認定を受けて稼働している、または認定済みで未稼働の発電所については、今回の制度廃止による影響は一切ありません。
認定時に定められた売電価格と買取期間(例:10kW以上は20年間)は、国の制度として期間満了まで保証されます。
したがって、既存の発電所オーナーは、引き続き安定した売電収入を得ることが可能です。
この権利は設備に紐づいているため、中古の太陽光発電所を購入した場合でも、残りの期間中は定められた価格で売電を続けられます。
【支援継続】工場や倉庫の「屋根設置」は今後も補助対象
今回の補助廃止は、あくまで「地上設置型(野立て)」を対象としたものです。
工場や倉庫、店舗、事務所といった建物の屋根上に設置する太陽光発電は、引き続きFIT/FIP制度の対象となります。
国はむしろ、建築物を活用した自家消費目的の太陽光発電導入を推進しており、今後も支援を継続・強化していく方針です。
そのため、屋根上への設置は、制度廃止の影響を受けないだけでなく、今後の主流な導入形態の一つとして位置づけられています。
FIT/FIP制度に頼らない!補助廃止後の太陽光事業の3つの選択肢
地上設置型の太陽光発電において、FIT/FIP制度を利用した売電事業は今後も収益モデルの選択肢として存在しますが、事業者は多様な収益モデルを確立していく必要があります。
売電収入に依存する従来型のビジネスモデルから脱却し、時代の変化に対応することが求められます。ここでは、補助金制度の将来的な変化を見据え、太陽光発電事業を継続・発展させるための、3つの有力な選択肢を解説します。
選択肢①:自家消費型へ移行し、企業の電気代高騰リスクに備える
一つ目の選択肢は、発電した電気を売電するのではなく、自社の工場やオフィスなどで直接使用する「自家消費型」への移行です。
近年、電気料金は高騰を続けており、企業の経営を圧迫する要因となっています。
自家消費型の太陽光発電を導入すれば、電力会社から購入する電気の量を削減でき、電気代の大幅なコストカットが可能です。
初期投資のお金はかかりますが、長期的に見て経済的なメリットは大きく、企業の脱炭素経営を推進する上でも有効な手段となります。
選択肢②:PPAモデルを活用し、初期費用をかけずに再エネを導入する
PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)モデルは、初期費用ゼロで太陽光発電を導入できる手法です。
このモデルでは、PPA事業者が企業の敷地や屋根を借りて太陽光発電設備を無償で設置・所有し、発電した電気をその企業へ販売します。
企業側は、設備投資の負担をすることなく、通常よりも安価な再生可能エネルギー由来の電気を利用できます。
初期費用を抑えたい企業や、設備の維持管理の手間を避けたい企業にとって魅力的な選択肢です。
選択肢③:蓄電池を併設し「ストレージパリティ補助金」の活用を目指す
太陽光発電設備と産業用の大型蓄電池をセットで導入することも、有力な選択肢です。
蓄電池を併設することで、日中に発電して余った電気を貯蔵し、夜間や早朝など発電できない時間帯に利用できます。
これにより、電力の自給率をさらに高めることが可能です。
また、災害などによる停電時の非常用電源(BCP対策)としても機能します。
国は蓄電池の導入を後押ししており、「ストレージパリティ補助金」といった支援制度を活用することで、導入コストを抑えられます。
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事業用太陽光発電の補助廃止に関して、事業者の方々から寄せられることが多い質問とその回答をまとめました。
制度の変更点や今後の事業展開を検討する際の参考にしてください。
2027年度以降、地上設置の太陽光発電は一切設置できなくなるのですか?
いいえ、設置自体が禁止されるわけではありません。
ただし、国のFIT/FIP制度による売電価格の保証が受けられなくなります。
自家消費を目的として設置する場合や、電力会社などと個別に契約(相対契約)を結んで売電先を確保できるのであれば、2027年度以降も事業として地上に太陽光発電設備を設置することは可能です。
すでに認定済みのFIT案件を中古で購入した場合、買取は継続されますか?
FITの買取は、事業者が変更になった場合でも継続されますが、名義変更の手続きが必要です。
FIT認定や売電契約は、発電設備ではなく事業者と紐付いているため、中古で発電所を購入するなどして所有者が変わる場合は、名義変更の手続きが必要となります。
手続きが完了すれば、当初認定された買取価格と残りの買取期間(20年から経過年数を引いた期間)は新しい所有者に引き継がれます。
今から地上設置の太陽光発電事業に参入するのはもう遅いでしょうか?
FIT/FIP制度を活用した売電事業への参入を考えている場合、2026年度中の認定申請が最後となるため、早急な検討と準備が必要です。
一方、売電に頼らない自家消費型やPPAモデルでの事業参入は、今後も可能です。
事業者は従来の発想にとらわれず、新しいビジネスモデルを視野に入れて事業性を判断することが求められます。
まとめ
国の方針により、2027年度から地上設置型の事業用太陽光発電はFIT/FIP制度の対象外となり、売電を目的とした新規参入は大きな転換点を迎えます。
ただし、この変更は全ての太陽光発電に適用されるわけではなく、すでに認定済みの発電所や、工場などの屋根に設置するケースは影響を受けません。
今後は、国の売電支援に頼るのではなく、自家消費による電気代削減やPPAモデル、蓄電池の活用など、新たな付加価値を生み出す事業モデルへのシフトが重要になります。