農地転用の費用相場と手続きの流れ|許可の条件・できない場合も解説
農地転用とは、農地を宅地や駐車場など、農業以外の目的で利用するために必要な手続きのことです。
この記事では、農地転用にかかる費用や手続きの詳しい流れについて解説します。
所有する農地が転用の許可を得られる条件や、転用できないケースについても触れており、土地活用を検討する上で知っておくべき情報を網羅しています。
Contents
農地転用とは?農地を宅地や駐車場にするための手続き
農地転用とは、田や畑といった農地の用途を変更し、宅地や駐車場、資材置場など、農業生産以外の目的で利用できるようにするための法的な手続きを意味します。
日本の食料自給率を守る観点から、農地は農地法という法律で保護されており、勝手に用途を変えることはできません。
家を建築したい、土地を売却したいといった目的がある場合、事前に都道府県知事または指定市町村長の許可を得るか、農業委員会への届出を行う方法で手続きを進める必要があります。
この手続きを経ることで、土地の地目を「畑」や「田」から「宅地」などに変更できるようになります。
農地転用の手続きには、土地の所有者自らが転用するケースと、売買などに伴い第三者が転用するケースの2種類があります。
そもそも農地転用は可能?許可が下りないケースとは
所有する農地が必ずしも転用できるとは限りません。
国の食料供給の基盤である優良な農地を確保するという目的から、農地法では転用の可否に厳しい要件を設けています。
そのため、申請しても不許可となるケースは少なくありません。
不許可になる主な理由としては、対象の農地が農業生産に適した優良な土地である場合や、周辺の農地の営農環境に悪影響を及ぼす恐れがある場合などが挙げられます。
無許可での転用は法律違反となり、厳しい罰則の対象となるため、転用が可能かどうかを事前に確認することが非常に重要です。
原則として転用が認められない農地|農用地区域内農地(青地)
農用地区域内農地、通称「青地」は、原則として農地転用が認められません。
この土地は、市町村が定めた農業振興地域整備計画において、今後長期にわたり農業上の利用を確保すべき土地として指定されています。
そのため、宅地造成や駐車場設置といった目的での転用は基本的に不可能です。
もし青地を転用したい場合は、まず農業振興地域から除外する「農振除外」という手続きを踏む必要があります。
しかし、農振除外の要件は非常に厳しく、代替できる土地がないなど、限られた場合にしか認められないのが実情です。
周辺の農地への影響が少ない場合に転用が認められる農地|第2種農地
第2種農地は、将来的に市街地化が見込まれる区域内や、小規模で生産性の低い農地などが該当します。
この種類の農地は、原則として転用が認められない農用地区域内農地(青地)や第1種農地とは異なり、一定の条件を満たせば転用が許可される可能性があります。
具体的には、周辺の他の土地では転用の目的を達成できず、第2種農地を転用する必要性が高いと判断された場合に許可が下ります。
ただし、周辺の営農環境に悪影響を及ぼさないことや、事業計画の確実性などが厳しく審査されます。
原則として転用が認められる農地|第3種農地・市街化区域内の農地
第3種農地は、駅の近くや市街地の中に位置するなど、市街地化の傾向が著しい区域にある農地を指します。
この農地は、立地的に農業よりも他の用途に活用する方が合理的と判断されるため、原則として転用が許可されます。
特に、都市計画法で定められた市街化区域内の農地については、許可申請ではなく、事前に農業委員会へ届出を行うだけで転用が可能です。
これに対し、市街化を抑制する市街化調整区域内の農地(第1種農地など)は、原則として転用が認められず、両者の扱いは大きく異なります。
農地転用にかかる費用の相場はいくら?内訳を解説
農地転用にかかる費用の総額は、土地の状況や転用目的によって大きく変動しますが、主な内訳は行政書士への報酬、登記費用、そして造成工事費です。
手続き自体に行政手数料はかかりませんが、専門家への依頼費用や登記関連費用として、最低でも10万円前後は見ておく必要があります。
さらに、土地の測量が必要な場合や、大規模な開発行為を伴う場合は、開発許可申請などの追加手続きで費用が加算されます。
最終的な金額は、これらの条件によって数十万円から数百万円に及ぶこともあります。
行政書士へ依頼した場合の報酬額の目安【4万円~】
農地転用の申請手続きは複雑で専門知識を要するため、行政書士に代行を依頼するのが一般的です。
行政書士へ支払う報酬額の相場は、市街化区域内の農地で届出を行う比較的簡単なケースで3万円から7万円程度が目安です。一方、市街化調整区域内の許可申請など、難易度が高い案件では10万円から15万円以上になることもあり、複数の申請が必要な場合はさらに高額になることがあります。
報酬額は、土地の面積や転用目的、申請の難易度によって変動するため、事前に複数の行政書士から見積もりを取得して比較検討すると良いでしょう。
法務局での地目変更登記にかかる登録免許税と司法書士費用
農地転用の許可が下り、造成工事が完了したら、1ヶ月以内に法務局で土地の地目を「畑」や「田」から「宅地」などに変更する「地目変更登記」を行う必要があります。
この地目変更登記自体には、登録免許税はかかりません。
しかし、登記手続きを土地家屋調査士に依頼するのが一般的であり、その際の報酬として5万円程度の費用が発生します。
土地家屋調査士は、現地の状況を確認し、法務局に提出する書類の作成と申請を代行します。
転用後に注意すべき固定資産税の増額
農地転用が完了すると、土地の評価額が大きく変わり、翌年度から固定資産税が大幅に増額される点に注意が必要です。
農地は税制上優遇されており、固定資産税が低く抑えられていますが、宅地に変更されるとこの優遇がなくなります。
土地の評価額は周辺の宅地の価格を基準に再計算されるため、税額が数倍から、場合によっては数十倍に跳ね上がることも珍しくありません。
転用後の維持費として、固定資産税の増加分をあらかじめ資金計画に含めておくことが重要です。
【5ステップ】農地転用の相談から地目変更登記までの流れ
農地転用を進める際の基本的な流れは、大きく5つのステップに分かれます。
まず地域の農業委員会への事前相談から始まり、書類収集、申請、造成工事、そして最後に法務局での地目変更登記という手順で進みます。
全体のスケジュールは、手続きの種類や案件の複雑さによって異なりますが、相談から登記完了まで数ヶ月から1年程度を見込んでおくとよいでしょう。
この流れを把握しておくことで、計画的に手続きを進めることができます。
ステップ1:地域の農業委員会への事前相談
農地転用を考え始めたら、最初に行うべきは土地が所在する市町村の農業委員会への事前相談です。
農業委員会は農地に関する専門機関であり、所有する農地が転用可能な種類か、どのような手続きが必要かといった基本的な事項を確認できます。
この段階で、土地の立地条件や転用目的を伝え、転用の見込みについて助言を求めることが重要です。
ここで得た情報をもとに、具体的な計画を立てていくことになります。
ステップ2:必要書類の収集と申請書の作成
農業委員会との事前相談で転用の見通しが立ったら、次に申請に必要な書類の収集と作成に取り掛かります。
農地転用の申請には、申請書のほか、土地の登記事項証明書、公図、位置図、事業計画書など、多岐にわたる書類が必要となります。
必要書類は自治体や転用の目的によって異なるため、事前に農業委員会が配布する手引きなどで正確なリストを確認し、漏れなく準備を進めることが求められます。
ステップ3:農業委員会への農地転用申請(届出または許可)
必要書類がすべて揃ったら、農業委員会へ農地転用の申請を行います。
土地が市街化区域内にある場合は「届出」、それ以外の区域(市街化調整区域など)では「許可申請」となります。
届出の場合は、書類に不備がなければ1〜2週間程度で受理通知書が交付されます。
一方、許可申請の場合は、農業委員会の総会で審議されるため、申請の締切時期が決められており、許可が下りるまでには1〜2ヶ月以上の期間を要するのが一般的です。
ステップ4:許可後の造成工事と転用事業の実施
農業委員会から転用の許可通知書または受理通知書が交付された後、計画していた造成工事に着工できます。
許可を得ずに工事を開始すると農地法違反となるため、必ず通知書を受け取ってから事業を実施してください。
工事は申請した事業計画通りに進める必要があり、もし計画変更が生じた場合は、再度手続きが必要になることもあります。
また、宅地造成など一定規模以上の開発行為を行う場合は、別途、開発許可が必要となるケースもあります。
ステップ5:法務局で地目変更登記を完了させる
造成工事が完了し、土地の現況が農地から宅地などに変わったら、最後のステップとして法務局で地目変更登記を行います。
この登記は、土地の利用状況が変更された日から1ヶ月以内に申請することが法律で義務付けられています。
地目変更を完了させることで、登記簿上の記載と実際の土地の状況が一致し、一連の農地転用手続きがすべて完了となります。
土地を分筆して一部だけ転用した場合も、同様に登記手続きが必要です。
山林など他の地目からの変更もこの手続きに準じます。
目的別に解説!農地転用の2つの申請区分【農地法4条・5条】
農地転用の申請は、その目的によって農地法で定められた2つの区分に大別されます。
一つは、土地の所有者が自分自身で利用するために転用する「4条申請」、もう一つは、土地を売却したり貸したりして、権利の移転を伴う「5条申請」です。
どちらの区分に該当するかによって、申請者や手続きの内容が異なります。
なお、農地のまま売買や貸借を行う場合は、農地法3条の許可が必要となり、転用とは異なる手続きになります。
所有者自身が宅地などに利用する場合の「4条許可・届出」
農地法4条に基づく申請は、農地の所有者が変わらず、自らの目的のために土地の用途のみを変更する場合に適用されます。
これは「自己転用」とも呼ばれます。
例えば、所有する畑に自分の家を建てる、駐車場として自分で使用する、あるいは資材置場として活用するといったケースがこれに該当します。
この場合、申請者は農地の所有者自身となります。
売却や賃貸を目的に転用する場合の「5条許可・届出」
農地法5条に基づく申請は、農地を宅地などに転用することに加え、第三者への所有権移転や賃借権の設定といった権利の移動を伴う場合に適用されます。
例えば、農地を宅地として不動産会社に売却する、あるいは事業者に土地を貸して店舗を建ててもらうといったケースが該当します。
この場合、申請は土地の売主(所有者)と買主(転用事業者)が共同で行う必要があります。
宅建業者が仲介する場合もこの手続きが必要です。
農地転用の申請に必要な書類一覧
農地転用の申請には、多くの書類を準備する必要があります。
必要となる書類は、すべての申請に共通する「基本書類」と、転用の目的や土地の状況に応じて追加で求められる「添付書類」に分かれます。
自治体によって必要な書類が異なる場合があるため、申請前には必ず管轄の農業委員会に確認し、不備のないように準備を進めることが大切です。
一部の条件を満たす場合は、提出が不要になる書類もあります。
必ず提出が必要な基本書類(申請書・土地の登記事項証明書など)
農地転用の申請において、一般的に提出が必要となる書類は以下の通りです。これらの書類は、転用目的がアパートの新築や資材置き場など、どのような用途であっても、多くの場合で提出が求められます。ただし、申請者の種類(個人か法人か)や市町村によっては、追加の書類が必要となる場合や、一部の書類が不要となる場合もあります。
* 農地転用許可申請書(または届出書)
* 申請地の登記事項証明書(全部事項証明書)
* 申請地の公図の写し
* 申請者の住民票(個人の場合。法人の場合は法人の登記事項証明書など)
* 土地の位置を示す地図(位置図)
* 周辺の土地利用状況を示す図面(案内図)
転用の目的によって追加で必要になる書類(事業計画書・資金証明書など)
基本書類に加え、転用目的の確実性や実現可能性を証明するために、追加の書類が必要になります。
例えば、建物を建てる場合は建築確認済証や建物の平面図・立面図が求められます。
また、事業目的での転用であれば詳細な事業計画書や、その事業を遂行するための資金があることを証明する資金証明書(銀行の残高証明書や融資証明書)の提出が必要です。
これらの書類は、計画された用途変更が確実に行われることを示すために重要な役割を果たします。
農地転用を進める上で知っておきたい注意点
農地転用をスムーズに進めるためには、手続きの流れや費用だけでなく、いくつか注意すべき点があります。
例えば、無許可で転用した場合の罰則や、申請から許可までの期間、建築予定地の道路との接道義務など、事前に知っておくべき重要なポイントが存在します。
これらの注意点を押さえておくことで、予期せぬトラブルを避け、計画通りに土地活用を進めることができます。
無許可で農地転用すると工事の中止命令や罰則の対象になる
農地法の許可を得ずに無断で農地を転用する行為は、法律違反となります。
違反が発覚した場合、都道府県知事から工事の中止や原状回復を命じられる可能性があります。
この命令に従わない場合、厳しい罰則が科されることになり、個人の場合は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、法人の場合は「1億円以下の罰金」が課されることがあります。
軽い気持ちでの無断転用は絶対に避けるべきです。
申請から許可が下りるまでには数ヶ月の期間を見込んでおく
農地転用の手続き、特に許可申請は、完了までに相応の期間がかかることを理解しておく必要があります。
市街化区域内の届出であれば1〜2週間程度で済みますが、市街化調整区域などの許可申請では、農業委員会での審議や知事の許可が必要となるため、申請から許可が下りるまでに数ヶ月を要するのが一般的です。
土地の売買や建築工事のスケジュールを立てる際は、この手続き期間を十分に考慮に入れることが重要です。
住宅ローンは農地転用の許可後に本審査が進む
農地を転用して住宅を建てる場合、住宅ローンの手続きスケジュールに注意が必要です。
多くの金融機関では、住宅ローンの本審査を進める条件として、農地転用の許可が下りていることを挙げています。
つまり、転用許可がなければ融資が実行されず、建築工事の請負契約や土地の売買契約を進めることができません。
そのため、全体の資金計画を立てる際には、農地転用の許可を得るまでの期間を考慮し、余裕を持ったスケジュールを組むことが求められます。
畑へのソーラーパネル設置|営農と転用の費用・地目・注意点
農地転用に関するよくある質問
ここでは、農地転用を検討している方から寄せられることが多い質問とその回答を紹介します。
手続きを自分で行えるのか、相続した土地が転用できない「青地」だった場合の対処法、近年増加している太陽光発電設備の設置は可能か、といった具体的な疑問について解説します。
Q. 農地転用の手続きは自分でもできますか?行政書士に依頼すべき?
手続きを自分で行うことは可能ですが、必要書類が多岐にわたり専門知識も要するため、行政書士に依頼するのが一般的です。
書類の不備で申請が遅れるリスクを避けるためにも、専門家への依頼を推奨します。
特に許可申請は手続きが複雑なため、円滑に進めるには専門家のサポートが有効です。
Q. 相続した農地が「青地」だった場合、絶対に転用は無理ですか?
原則として転用は極めて困難ですが、絶対に不可能というわけではありません。
代替地がなく、緊急性が高いなど、特定の要件を満たす場合に限り「農振除外」の手続きを経て転用が認められることがあります。
ただし、この手続きは非常に難易度が高く、数年単位の時間がかかることも覚悟する必要があります。
Q. 太陽光発電を設置するために農地転用することは可能ですか?
可能です。
ただし、農地の種類によって可否が異なります。
第2種農地や第3種農地であれば、比較的転用が認められやすい傾向にあります。
一方、青地や第1種農地といった優良農地では原則として認められず、農地に支柱を立てて営農を継続しながら発電する「営農型太陽光発電」などの手法を検討する必要があります。
まとめ
農地転用は、所有する農地を有効活用するための重要な手続きですが、農地法に基づく厳格なルールが存在します。
転用が可能かどうかは農地の種類や立地条件によって異なり、手続きには費用と数ヶ月単位の期間が必要です。
まずは管轄の農業委員会に相談し、転用の見込みを確認することが第一歩となります。
手続きが複雑で専門知識も求められるため、行政書士などの専門家に相談しながら計画的に進めることが成功の鍵です。
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