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FIT制度とFIP制度の違いは?どちらがお得?仕組みを解説-産業用太陽光発電の一括見積もりサイト

FIT制度とFIP制度の違いは?どちらがお得?仕組みを解説

「FIT制度」と「FIP制度」の違いをご存じでしょうか?両制度はともに日本の再生可能エネルギーの買取価格に関する制度です。では、その違いは何でしょうか?またどちらの制度が法人にとってお得でしょうか?解説していきます。

 

FIT制度とは?

FIT制度とは「Feed-in Tariff」の頭文字を取った略称で、国が一定期間固定の価格で、再生可能エネルギー由来の電力を買い取ってくれる制度のことです。

FIT制度導入の背景

FIT制度導入の背景には日本のエネルギー自給率の低さがありました。日本のエネルギー自給率は他の先進諸国と比べても低く、主なエネルギー源である石油・石炭・天然ガスエネルギーのほとんどを輸入に依存していました。そこで、自給率を上げるために、再生可能エネルギーの普及を狙って創設された制度がFIT制度でした。

FIT制度の成果

FIT制度は国が高い固定買取価格を保証することで投資リスクを減らし、法人や個人の発電事業者の再生エネルギー参入への障壁を下げることで、再エネの普及に貢献してきました。住宅用太陽光発電で2009年、産業用で2012年から固定価格での買取が始まってから3年間で、再生エネルギーの導入量が倍増しました。

FIT買取期間

国が固定価格で買い取ってくれる、買取期間は産業用太陽光発電が20年間、住宅用太陽光発電が10年間となっています。買取期間終了後も、電力会社と直接契約して売電を続けることは可能です。ただし、売電単価は落ちる可能性が高いです。

FIT売電単価

FITの固定価格は太陽光発電設備の発電出力によって価格は変わり、2025年上半期だと設備の出力が50kw未満の屋根設置型産業用太陽光発電の場合、FIT価格は11.5円となります。

ただし、2025年度下半期から適用される新制度「初期投資支援スキーム」によって屋根設置型の太陽光発電に対して、初めの4~5年間は買取価格が高く設定されます。250kw未満の産業用太陽光発電であれば、はじめの5年間は19円/kwh で買い取ってもらえるので、上半期と比べると2倍近く買取価格が高くなります。

FIT価格の下落

FIT制度の買取価格は太陽光発電の導入コストなどをもとに算出し、経済産業大臣が最終的に価格を決定します。
近年は太陽光発電導入コストの低下とともに、売電単価も年々下落しています。現在は11.5円の産業用太陽光発電の売電単価も、導入当初の同規模設備の買取価格は40円/kwhでした。

 

FIP制度とは?

FIP制度とは、買取期間の間、固定される「基準価格」に毎月市場によって変動する「プレミアム」を加えた額で再生エネルギー電力を売電できる制度のことです。

FIP制度導入の背景

日本政府は2050年までに、温室効果ガスの排出量と削減量を差し引きでゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指しています。そのためのステップとして、2030年までに温室効果ガスを46%削減することを目標として掲げており、さらなる再生エネルギーの普及のためFIP制度は導入されました。

FIP制度にはプレミアの付与によって事業者の投資意欲を促進し、FIT制度で普及した太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーを、事業者が電力市場の市場原理に基づいて取引できるよう促すことで、再び電力市場へ統合するという目的があります。

また、FIP制度には再エネ賦課金の負担を下げる役割も期待されています。
FIT制度では市場よりも高い固定価格で取引するために、再エネ賦課金が電気代に上乗せされることで国民の負担になっていました。このような負担を軽減するためにもFIPによる市場価格での取引への移行が急がれます。

FIP認定を受けることができる発電施設

現在FIP制度の認定を受けることができる太陽光発電設備は出力が50kw以上の産業用太陽光発電となっております。出力が50kw未満の産業用太陽光発電や住宅用太陽光発電はFIP制度の認定を受けることができません。

また、出力が250kw以上の太陽光発電設備は自動的にFIP制度が適用されます。このように、今はまだ適用範囲が限定的なFIP制度ですが、今後は適用範囲を徐々に広げていくと考えられております。

また、すでにFIT制度を適用している太陽光発電設備でも、申請すればFIP制度に移行することが可能です。

FIPの売電価格

FITの売電価格は、買取期間の間固定される基準価格に市場の状況によって変化するプレミアを足した額となります。基準価格はFITの買取価格と同じように導入コストなどから決定され、申請年度から20年間固定されます。FIP制度におけるプレアムは、基準価格から参照価格を引いた差額になります。参照価格の内訳は、卸電力市場の価格に連動して算定される金額と非化石価値取引市場の価格に連動して算定される金額からバランシングコストを引いたものになっています。

参照価格の具体的な計算式は以下の通りです。

参照価格 = 前年度年間平均市場価格 + (当年度月間平均市場価格 – 前年度月間平均市場価格) + 非化石価値市場収入 – バランシングコスト

売電単価は毎月変動しますが、電力市場の状況によってはFIT価格よりも高い値段で売電できる可能性も存在します

バランシングコスト

バランシングコストとは電力事業者が事前に提出する需要量の予想と実際に消費した供給量の差を埋めるために事業者が支払う料金のことです。FIP制度では、発電事業者は事前に発電計画を立て、見込まれる需要量と実績値と一致させる「バランシング」が義務として求められます。

 

FIT制度とFIP制度の違い

FIT制度とFIP制度にはいくつか違いが存在します。

1つ目が、再エネ電力の買取価格です。FIT制度では産業用では20年間、住宅用では10年間の間固定価格で太陽光をはじめとする再エネ電力を買い取ってもらえます。一方で、FIP制度の場合は基準価格は20年間固定されますが、プレミアが毎月の電力や非化石市場の状況によって変動します。

2つ目が、制度の適用範囲です。
FIT制度は出力が250kw未満の太陽光発電施設に適用することが可能です。一方で、FIP制度は出力が50kw以上の太陽光発電施設から適用を選択できます。 また、出力が250kw以上の太陽光発電施設は自動的にFIPが適用されます。

 

FIT制度メリット

FIT制度のメリットは大きく2つあります
 ・ 収入の見通しが立つ
・ インバランス料金を負担しなくていい

詳しく見ていきましょう

収入の見通しが立つ

FIT制度は決まった買取期間、固定価格で再エネ電力を買い取ってくれます。出力が10kw以上の産業用太陽光発電であれば、買取期間は20年間です。20年間FIT申請が認定された年度の買取価格で電力を売ることができます。よって、どれだけの収益を太陽光発電によって得ることができるか計算が容易で収益の見通しが立ちます。

インバランス料金を負担しなくていい

FIT制度では見込まれる電力の需要量と実際の電力の消費量の差を清算するためのコストであるインバランス料金を支払う必要がありません。FIP制度では事前に需要量を予測し、実測値と一致させるバランシングをする必要がありますが、FIT制度が適用されている場合は、インバランス特例で免責となります。

 

FIT制度デメリット

一方で、FIT制度のデメリットは大きく2点あります。
・ 収入が上振れることはない
・非化石価値取引市場で取引できない
それぞれ見ていきましょう

収入が上振れることはない

前述したようにFITによる固定価格買い取り期間の間は、売電単価が固定されます。
そのため、長期間安定した収入を稼げる一方、売電収入が高くなるということもありません。

再エネ賦課金が軽減できない

FITによる固定買取価格が市場価格より高めな理由として、再エネ賦課金を国民の電気代から負担していることが挙げられます。ただし、これは国民全体に負担をかけている状態なのであまり好ましいとは言えません。また、近年ウクライナ情勢によるエネルギー不足から電気代が高くなっていることもあって、いくらFIT制度を使って高い価格で売電できても、その分電気代が高くなているのでは元を取れているとは言いづらいです。

 

FIP制度メリット

FIP制度のメリットは主に以下の2つ存在します。
・収益の最大化を目指すことができる
・間接的に再エネ賦課金の軽減に貢献できる
詳しく見ていきましょう。

収益の最大化を目指すことができる

FIP制度は買取期間に固定される基準価格に加えて、市場によって変動するプレミアを加えて電力を売ることができます。 そのため、市場で電力の価格が高い時期により多くの電力を売電すれば、より多くの売電収入を得ることができ収益の最大化を目指すことができます。

間接的に再エネ賦課金の軽減に貢献できる

FIP制度も、プレミアムが加算される優遇制度であるので直接再エネ賦課金の軽減には貢献しませんが、FIPの普及により再生可能エネルギーの電力市場での取引がより一般的になり、電力市場全体のシステムが効率化しコストが削減できれば、再エネ賦課金の軽減につながります。

 

FIP制度デメリット

FIP制度のデメリットとしては大きく以下の2つが考えられます。
・収入の見通しがたたない
・ インバランス料金を負担する必要がある
それぞれ見ていきましょう

収入の見通しがたたない

FIP制度の売電価格は市場の状況によっては、上がるだけでなく当然下がることもあります。よって、固定された金額で長期間売電できるFIT制度と比べて、安定した収入の見通しを立てることは難しいでしょう。

インバランス料金を負担する必要がある

インバランス料金とは需要予測と実際の使用量にずれが生じた場合に、そのずれに対して電力事業者が一般送配電事業者に対して支払う料金のことです。 FIT制度では免責になっていたインバランス料金をFIP制度だと支払う必要があります。

 

法人にとってどちらがお得?

どちらがお得であるか、発電施設や電力市場の状況にもよりますので一概には言えません。あえて結論を出すならば、安定した収入を取るならFIT制度、収益の最大化を目指すならFIP制度ががおすすめです。理由はこれまで述べてきたように、FITであれば固定価格で売電でき、FIP制度ならばプレミアによって収入の上振れを期待できるからです。ただし、どちらの制度を適用にするにしても現在(2025年8月)であれば初期投資支援スキームを利用することがおすすめです

2025年下半期から導入された「初期投資支援スキーム」は、FIT/FIP初期の売電価格を上げ、初期投資を手早く回収させることが狙いで設立されたスキームです。初期投資支援スキームにより、2025年下半期の屋根設置型太陽光発電システムの売電価格は上半期と比べて、11.5➡19円と2倍近くも上昇しております。初期投資支援スキームは発電事業者に太陽光発電の初期費用を手早く回収してもらうために設立されたスキームなので、上記の売電価格は5年目までで6年目以降は下がってしまいます。しかし、初期投資を早く回収できるというだけでも大きなメリットと言えるのではないでしょうか?

また、補足にはなりますがFIT/FIPのどちらかを選ぶ場合、長期的に見ればFIP制度がおすすめです。理由としては、再エネ賦課金の間接的な軽減効果が期待できるからです。前述したようにFIPの普及により再エネ電力の電力市場での取引が一般化し、電力市場全体のコストダウンによる効率化が起きれば、長期的にではありますが再エネ賦課金の軽減に貢献し、電気代の削減にもつながる可能性があります。また、現在FIP制度は50kw以上の太陽光発電にのみ適用可能ですが、今後その範囲は広がっていき、徐々にFIT制度からFIP制度への移行が進むと考えられています。

長くなったのでまとめます。

安定した収入を取るならFIT制度が、収入の上振れや長期的な観点で見るとFIP制度がおすすめです。ただし、どちらの制度を適用するにしても2025年8月現在では,初期投資支援スキームを利用することがおすすめです。

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