太陽光発電の売電価格はいくら?今後の価格推移も予測!
固定価格買取制度(FIT制度)では年度ごとに、買い取り額が変わっています。
では、2025年度現在の買取価格はいくらなのでしょうか?
産業用/住宅用も含めて現在の買取価格を紹介します。
また、年々下落傾向にあるといわれているFIT価格の推移や
なぜ下落しているのかについてもご紹介いたします。
Contents
FIT制度について
FIT制度とはFeed-in Tariff」の頭文字を取った略称で、決められた期間の間、国に固定の価格で太陽光発電設備で発電した電力などの再生可能エネルギーを買い取ってもらうことができる制度のことです。
FIT制度を適用するには太陽光発電設備を設置した後、経済産業省に申請書を提出して事業計画を認定してもらう必要があります。その後、電力会社の送配電網につなぐために、系統連系申請をすることで売電が可能になります。
調達価格(買取価格)は年度ごとに異なり、決められた買取期間の間、FIT制度の適用を開始した年度の金額で売電することが可能です。
買取期間は産業用太陽光発電で20年間、住宅用太陽光発電で10年間です。
以下に1kwh当たりの買取価格を表にまとめてみました!
産業用太陽光発電 (50kw以上) |
産業用太陽光発電 (50kw未満) |
住宅用太陽光発電 | |
---|---|---|---|
買取期間 | 20年間 | 20年間 | 10年間 |
売電単価 | 8.9円 | 11.5円 | 15円 |
資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
2025年度の産業用太陽光発電の1kwh当たりの売電単価は、10kW以上50kW未満の施設で10円、50kw以上の施設で8.9円となっております。一方で、出力が10kw未満の住宅用太陽光発電は15円となっております。
2025年度下半期に価格の変動あり!
2025年度下半期から適用される新制度「初期投資支援スキーム」によって屋根設置型の太陽光発電に対して、初めの4~5年間は買取価格が高く設定されます。
住宅用太陽光発電(10kw未満) はじめの4年間は24円/kwh 上半期は15円
産業用太陽光発電(250kw未満) はじめの5年間は19円/kwh 上半期は11.5円
出展 資源エネルギー庁(https://pps-net.org/fit_kakaku)
このように2倍近くも買取価格が上昇します。
初めの4~5年間が終了した後は、買取価格が低下します(住宅用/産業用ともに8.3円/kwh)が、この制度を利用すれば初期投資を素早く回収することができるでしょう。
FIT価格の推移
改めてFIT制度とは、再生エネルギーを用いた発電を普及させるという目的のために、2012年度から開始した国が再生可能エネルギー由来の電力を一定の期間固定の価格で買い取ってくれる制度のことです。
その背景には日本におけるエネルギー自給率の低さや環境問題への対策のため再エネ導入率を増やすという目的がありました。
制度の開始当初の買取価格は1kwh当たり、住宅用太陽光発電で42円/kwh、産業用太陽光発電で40円/kwhと非常に高額でした。
FIT制度は創設以来約4年間で再エネの導入量が約2.5倍になるといった大きな効果をもたらしましたが、買取価格は年々下がっていく傾向にあります。
以下の表で10kw以上50kw未満の屋根設置型産業用太陽光発電に絞って価格の推移をみていきましょう。
産業用太陽光発電(50kw未満) | 売電単価 |
---|---|
2012年度 | 40円 |
2013年度 | 36円 |
2014年度 | 32円 |
2015年度 | 29円/kWh(4/1~6/30)、27円/kWh(7/1~) |
2016年度 | 24円/kWh |
2017年度 | 21円 |
2018年度 | 18円 |
2019年度 | 14円 |
2020年度 | 13円 |
2021年度 | 12円 |
2022年度 | 11円 |
2023年度 | 10円(4-9月) 12円(10-3月) |
2024年度 | 12円 |
2025年度 | 11.5円 初期投資支援スキーム:(~5年)19円、(6~20年)8.3円 |
新電力ネット
https://pps-net.org/fit_kakaku
このように、制度の導入初期と比べてかなりの金額、買取価格が下がっていることがわかります。なぜこのように、買取価格は下落しているのでしょうか?
なぜ下落している?
理由は主に2つあると思われます。
1つ目の理由が、太陽光発電の設置費用が下がっていることです。そもそもFIT制度の売電単価は、太陽光発電設置にかかるコストを基準に調達価格等算定委員会の意見を勘案して、経済産業大臣が最終的な設定をする仕組みになっています。
そのため、太陽光発電の導入コストが下がると、売電単価も下がります。
経済産業省の「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」によると、近年、太陽光導入にかかるシステム費用は低下傾向にあります。
つまり、太陽光発電の普及により導入コストが下がったため、売電単価も下がったといえるでしょう。
2つ目の理由が、再エネ賦課金が上がっていることにあります。
再エネ賦課金とは再生可能エネルギー買取のために、電力会社が費やした費用を国が補填するためのもので、電気代の一部として利用者から徴収されます。
近年、太陽光発電の普及によって再エネ賦課金が増えており、これ以上の負担増加を抑制するために、売電単価を下げているという理由もあります。
今後どうなる?
前の項目で触れたように、近年のFIT制度適用時の売電単価は減少傾向にあります。
その理由は、太陽光発電の普及が進んだことによる導入コストの低下や再エネ賦課金の上昇にあるため、今後も太陽光発電の普及が進めばさらに低下していくことが考えられるでしょう。
実際に電力中央研究所の研究では、FITの買取価格は「。2020年度以降は12円/kWhから段階的に低下し、2030年度8.5円/kWh」と想定されています。
しかし、売電単価が下がっているからといって太陽光発電を導入するメリットが無くなってきているとは限りません。
なぜなら、FIT初期よりも太陽光発電の導入コストが下がっているからです。
また、FIT制度を使った売電以外にも、FIP制度の利用や自家消費など太陽光発電を使って利益を得る方法はあります。
以下にFIP制度や自家消費について詳しく解説していきます。
FIP制度への移行
FIP制度(Feed-in Premium制度)とは、FIT制度で普及した太陽光をはじめとする再エネ電力を、電力市場に統合することを目指して設立された制度です。
FIT制度と同じように、発電施設導入に必要な費用をもとに策定された「基準価格」に、毎月市場によって変動する「プレミアム」を加えた額で、再エネ電力を売電できる制度になっています。そのため売電価格は毎月変動します。
「基準価格」に加えてプレミアが上乗せされた金額で売電できるので、電力市場の状況次第では、FIT制度よりも高い金額で売電できる可能性があります。
基準価格はFIT制度と同じように、20年間固定となります。
基準価格の推移を表で見てみます。
年度 | 基準価格 |
---|---|
2024年度 入札制度により決定※4 | (第20回9.2円/第21回9.13円/ 第22回9.05円/第23回8.98円) |
2025年度 入札制度により決定 | (第24回8.90円/第25回8.83円/ 第26回8.75円/第27回8.68円) |
資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/fit_kakaku.html
プレミアムは基準価格から、前年度の市場平均や非化石市場の収入、バランシングコストなどを加味して計算された参照価格を引いた額となります。
参照価格の具体的な計算式は以下の通りです。
参照価格 = 前年度年間平均市場価格 + (当年度月間平均市場価格 – 前年度月間平均市場価格) + 非化石価値市場収入 – バランシングコスト
すでにFIT制度を適用している太陽光発電設備でも、申請すればFIP制度に移行することが可能です。
ただし、FIP制度の認定を受けることができる太陽光発電は出力が50kw以上となっております。また出力が1mw(1000kw)を超える設備の場合は自動的にFIP制度が適用されます。
自家消費もおすすめ
太陽光発電の導入メリットは売電収入だけではありません。
近年、コロナの流行やウクライナ情勢によるエネルギー需要の上昇から、電気代が高騰し続けているため、自家消費でより多くの電気代を削減することができるようになっています。
電気代の1kwh当たりの単価は電力会社によっても変わってきますが、一つの基準として全国家庭電気製品公正取引協議会の出している、新電力料金目安単価を参照すると31円が目安の電気代単価<として定められております。
この価格は、2025年度の住宅用太陽光発電のFIT価格15円と比較しても倍以上の差があります。つまり、太陽光発電を導入すれば、自家消費によって充分な金額の電気代を削減できるだけでなく、余剰売電でさらに収入も得ることができます。
何年で投資が回収できる?
では、自家消費で節約した電気代とFITを使った売電収入を合わせて何年で元が取れるか試算してみましょう!
初期費用
今回は、発電出力が30kwの産業用太陽光発電を導入した場合を想定します。
産業用太陽光発電の1kwあたりの必要経費は屋根設置(10kW〜50kW):15.0万円/kWと言われています。
出力が30kwの規模だと、450万円が必要経費となります。
年間売電収益
太陽光発電協会によると、出力が1kwの太陽光発電の年間発電量は約1000kwhだそうです。よって、30kwの産業用太陽光発電の年間発電量は30000kwh
経済産業省の資料によると(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/100_01_00.pdf)、屋根設置型産業用太陽光発電の自家消費率の平均は近年だと約46%であることがわかります。
4.6割を自家消費したとすると、売電した電力は残りの5.4割
売電した電力は、30000×0.54=16200kwhであることがわかります。
30kw出力の太陽光発電の売電単価は1kwhあたり11.5円(上の表参照)なので、
年間の売電収入は11.5×16200=186300円
年間の売電収入は、18万6千300円と想定されます。
自家消費額
では次に自家消費によって節約した電気代を計算してみましょう。
30kwの産業用太陽光発電の年間発電量は30000kwh、また屋根設置型の太陽光発電の年間売電自家消費率は平均して約46%。
1年間で自家消費した電力量は、30000×0.46=13800kwhとなります。
新電力料金目安単価を参照して1kwh当たりの電力単価を31円とすると、
年間に削減した電気代は、13800×31=427800円(42万7千800円)となります。
先ほど試算した、年間の売電収益と合わせると、おおよその数値にはなりますが年間約60万円程度の費用を回収できていることがわかります。
初期費用450万を60で割ると、450÷60=7.5
よって、8年目で初期投資を回収できることがわかります。
卒FIT後はどうしたらいい?
FIT制度では、産業用は20年、住宅用は10年で買取期間が終了し、FIP制度でも20年間で買取期間を満了してしまします。
では、FIT/FIP終了後はどのように売電すればいいのでしょうか?
FITの買取期間を終了することを、一般的に卒FITと言います。
卒FIT後の売電方法について説明します。
結論から言うと、基本的に再契約や更新の手続きをせず、買取契約が自動更新される電力会社がほとんどです。ただし、FIT期間と比べて買取価格が大幅に下がってしまう可能性があります。
現在の大手電力が視野の電力買取プランでは、1kwh当たり8円程度が相場と言えます。そのためFIT期間と比べるとどうしても、売電収入が下がってしまいます。
対策としては、2つ考えられます。
1つ目は、より買取価格が高い電力会社と契約しなおすことです。
FIT期間終了後、現在契約している電力会社で充分な売電収入が期待できない場合は、契約を取り消して別の電力会社に余剰電力を売電するというのも手段としてかんがえられます。
2つ目は、余剰電力を売電せずに自家消費量を増やすという方法です。
昨今電気代が高騰していることもあって、どちらかといえばこちらの方がおすすめです。蓄電池を導入すれば、使いきれなかった電力を貯蔵することができるので、自家消費量を増やすことが可能です。
産業用・分譲型太陽光発電リサーチ
ニュース・よくある質問

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