PPAとは?オンサイト/オフサイトPPAの違いは?
PPAとは太陽光発電を導入する方法の一つです。初期費用0円で太陽光発電を導入することができるので、手軽に太陽光発電を導入したい法人の方に特におすすめです。今回の記事では、PPAの仕組みやPPAと自己所有の違い、PPAモデルの分類について解説していきます。
Contents
PPAモデルとは
PPAとは、「Power Purchase Agreement」 の略称で、太陽光発電施設で発電した電力を販売したい事業者と購入したい需要家の間で電力購入契約を結ぶことを指します。
第3者所有モデルともいわれ、導入した太陽光発電は契約期間の間事業者の所有物ですが、その代わりに工事費や太陽光パネルの購入費などの初期費用はすべてPPA事業者が負担します。また、メンテナンスも事業者側が実施するので、維持費用もかかりません。
ただし、10~20年の契約期間の間、PPA事業者から電力を購入し続ける必要があります。高額な初期費用をかけずに手軽に太陽光発電を導入できるので、脱炭素に取り組む法人に特におすすめのサービスとなります。
PPAの仕組み
PPAモデルは毎月、需要家が使用した分の電力だけ事業者に電気代を支払うというシステムになっております。支払う電気代は通常の買電契約で電力会社に支払う料金と比べてかなりやすく、15~18円/kwhが目安となります。前述したように初期費用は不要で、メンテナンスも事業者が行います。
10~20年間の長期契約の間は毎月、使用した分の電気代を支払う必要があります。また、契約期間の間、発電施設は事業者の所有物なので、売電をすることはできません。
契約期間終了後は、需要家側に譲渡されることもあります。譲渡後の太陽光発電施設は需要家の所有物なので、発電した電気を自家消費するも、売電するも自由です。
PPAと自社所有の違いは?
では、PPAモデルと自社所有モデルの違いは何でしょうか?自社所有モデルとは、名前の通り自社で購入した太陽光発電施設を自社の敷地内に設置し自社で運用していく方法のことです。自社所有モデルは、PPAモデルと違い初期費用を負担しますが、毎月の電気代の支払いの必要がありません。それぞれの利点を比較していきます。
PPAの利点:初期費用が掛からない
太陽光発電を導入する際の初期費用は、小規模な発電所で数百万円、大規模な発電所で数億円になるなど、太陽光発電を始めたくても企業によっては初期費用の調達ができない場合があります。PPAサービスを利用すれば、工事費も設備購入費もかからず手軽に太陽光発電を始めることができます。
PPAの利点:メンテナンスの必要がない
PPA契約では設置した太陽光発電施設は契約期間の間はPPA事業者のもので、メンテナンスや点検等もPPA事業者が行います。通常であれば太陽光発電は故障を予防するために低圧(50kw未満)の設備で4年に1回、高圧(50kw以上)の設備で6か月に1回の点検が推奨されています。
また、点検にかかる金額は産業用だと数十万~数百万かかるといわれています。このような点検・メンテナンスの手間や費用が掛からないので、会社にとって大きなメリットであるといえます。
PPAの利点:企業の脱炭素取り組みに手軽に貢献できる
近年、地球温暖化の抑制や資源枯渇への対処として、脱炭素への取り組みが大企業だけでなく、中小企業でも要請されるようになりました。PPAを利用した太陽光発電の導入は、企業の脱炭素への取り組みとして評価され、企業ブランドの向上や投資家の評価にもつながります。
また、将来的には環境関連の法規制が強化されていくと考えられるので早めの対策はリスクの回避につながります。このように、PPAを利用すれば手軽に太陽光発電を導入でき、脱炭素への要請にこたえることができます。
自社所有の利点:余った電力を売電できる
自社所有の大きな利点の一つは、発電した電力を自由に売電できる点です。産業用だと50kw未満の設備ならば、余剰買取制度が適用されます。余剰買取制度とは、太陽光発電で発電した電力が自家消費しきれなかった場合、余った電力を売電できる制度です。
また、50kw以上の設備なら全量売電制度も適用できます。全量売電制度は発電したすべての電力を売電することができるので、より多くの売電収入を得ることができます。
自社所有の利点:電気代の節約メリットが大きい
自社所有で太陽光発電を導入する場合、電気代の削減メリットもPPAモデルより大きいです。特に近年はウクライナ情勢による電気代の高騰により、より経済的な利益が高くなっています。電気代は地域や契約しているプラン、電力会社によっても変わりますが、全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安の値段は1kwh当たり約31円です。
太陽光発電設備を自社所有で導入すれば、施設の規模や設置環境で使用する電気の量にもよりますが、使用する電力の30%~60%を無料で自家消費できます。
ただし、PPAサービスを利用して電気を購入する場合も、通常の電気代よりやすくなり経済的なメリットがあるといえます。PPAモデルを利用した場合の電気代は、契約料金によっても大きく変わりますが、約15~18円/kwhが相場なので、通常の電気代よりも倍近く安くなります。
どちらのモデルを利用した場合でも、経済的なメリットがありますが、長期的に見た場合の経済的なメリットが高いのは自社所有モデルと言えるでしょう。
自社所有の利点:設備を自由に撤去できる
PPAで導入した太陽光発電施設は契約期間の間その場所に固定となり、長期間自由に動かすことができません。そのため、事業所の建て替えや移動などの予定があると支障をきたす可能性があります。また、契約期間中の解約には違約金が発生することもあります。
一方で、自社で導入した太陽光発電施設は必要に応じて撤去したり売却するなど自由に処分することが可能です。
どちらがおすすめ?
短期的なコスト削減や導入・運用の手軽さを重視するならPPAモデル、長期的な経済的メリットを優先するなら自社所有モデルがおすすめです。
リース契約とは?
PPAとよく似た太陽光発電の導入方法にリース契約という方法が存在します。PPAと同じように毎月のリース料を払うことで、初期費用0円で太陽光発電を設置し電力を利用することができます。リース契約では契約期間の間、所有権は自社になく、リース会社からリース料金を払って借りている状態になります。
リース料金には、太陽光発電の機器購入金、工事費、メンテナンス料、保険費やリース会社の手数料が含まれます。リース料金は契約内容や太陽光発電施設の規模によって変わりますが、出力が10kwの施設で3万円程度、出力が50kwの施設で10万円以上が相場です
契約期間は10~15年ほどで、契約終了後の太陽光発電施設は譲渡されることが一般的です。初期費用0円で手軽に太陽光発電を導入でき、リース料金にメンテナンス費用が含まれている場合は、メンテナンスが不要です。メンテナンスが毎月のリース料金に含まれているかどうかは、契約内容によって変わるので、リース契約を使って太陽光光発電を導入する際は、契約内容をしっかりと確認しましょう。
PPAとリース契約の違い
では、PPAとリース契約はどこに違いがあるのでしょうか?それぞれの利点を比較していきます。
リースの利点:売電ができる
リース契約は契約期間の間、PPAと同じく自社に所有権はありませんが、無料で自家消費したり、発電した電力を自由に売電することができます。 一方、PPAで導入した太陽光発電で発電した電力は契約期間だと売電できず、使用した分だけ電気代を支払う必要があります。
リースの利点:月々の料金は固定
リース料金は使用した電気代の分だけ払うPPAと違って、月々の料金は変動せず固定となります。よって、毎月の支払金額が変動するPPAよりも、かかる費用の予想が立てやすくなっております
PPAの利点:月々の金額が安い
PPAの場合、支払う金額は月々使用した分の電気代だけなので、使用する電力量にもよりますが、基本的にリース契約よりも安く済むかと思います。リースの場合は、産業用太陽光だと月々3万円~10万円程度かかり、リース料金がメンテナンス費や手数料を含んでいることもあり、直接購入するよりも費用が割高になることもあります。
PPAの利点:メンテナンス費用はいらない
リース契約の場合、メンテナンスを自社で行う必要があるかどうかは契約内容によって変わります。一方で、PPA契約ならばどのような契約内容であってもメンテナンスは事業者側が実施します。
どちらがおすすめ?
なるべくコストをかけず手軽に太陽光発電を始めたい場合はPPA資金に余裕があり設置した太陽光発電で売電する予定がある場合はリース契約がおすすめです。
PPAの種類
PPAにも設置場所や受け取り方によっていくつかの分類が存在します。
オンサイトPPA
オンサイトPPAとは事業所の屋上や外壁など自社の敷地内に、太陽光発電施設を設置するタイプのPPAを指します。一般的な太陽光発電設備と同じように発電した電力はすぐに利用できます。
オフサイトPPA
発電設備が自社の敷地ではなく、離れた場所に設置するタイプのPPAを指します。
一般送配電事業者の電力網を利用して電力を供給するため託送料金がかかりますが、自社に太陽光発電設備を置けるスペースがない場合でも太陽光発電を利用することができます。
また事業者から購入する電気代の単価がオンサイトPPAよりも高くなります。
フィジカルPPA
フィジカルPPAとは、電力の直接供給を受けるPPAのことです。電力会社から送られてくる再生可能エネルギーは電力と環境価値に分けられます。フィジカルPPAは電力と環境価値のどちらも購入する契約形態です。環境価値とは再生可能エネルギーが持つ二酸化炭素を排出しないという賦課価値のことです。Jクレジット、グリーン電力証書、非化石証書といった証書の形で扱われ、脱炭素の取り組みにおいてどれだけ貢献しているか可視化されます。
バーチャルPPA
電力を直接購入するのではなく、再生可能エネルギー由来の環境価値を購入する契約形態のことです。バーチャルPPAでは電力を直接購入するのではなく、>再生エネルギーの発電所から生まれる環境価値のみを購入します。地理的な制約がなく複数の需要地点に環境価値を配分可能です。
コーポレートPPA
PPA個人が結ぶことも可能ですが、コーポレートPPAとは単純に企業がPPA業者と長期間にわたって電力の購入契約を結ぶことです。
オンサイトPPAとオフサイトPPAの違い
オンサイトPPAとオフサイトPPAはどう違うのでしょうか?利点を比較してみます。
オンサイトPPAの利点:電気代が安い
オンサイトPPAで太陽光発電を導入した場合の利点は、オフサイトPPAと比べて毎月の電気代が安いことです。オンサイトPPAの毎月の電気代の相場は、15円~18円程度です。
一方で、オフサイトPPAの毎月の料金相場は20~24円です。これは、オフサイトPPAが電力会社の送配電網を使用することからかかる託送料金や、小売りコストが加算されるからです。
オフサイトPPAの利点:敷地面積を取らない
オフサイトPPAのメリット設置面積を取らないことです。オフサイトPPAは自社の事業所に太陽光発電を設置する場所がなかったとしても、太陽光発電で発電した電力を導入し脱炭素に取り組むことができます。
太陽光発電施設の設置に必要な面積は1kwあたり10㎡と言われています。10kw規模の産業用太陽光発電であれば100㎡、50kw以上の高圧の太陽光発電システムであれば500㎡のスペースが必要になります。
どちらがおすすめ?
敷地面積に余裕がある場合はオンサイトPPAがコストが低く済むのでおすすめです。一方で、太陽光発電施設を設置する十分な面積がない場合はオフサイトPPAがおすすめです。
フィジカルPPAとバーチャルPPAはどちらが良い?
フィジカルPPAとバーチャルPPAの違いは何でしょう?違いを比較してみます。
フィジカルPPAの利点:安定した電力供給を受けることができる
フィジカルPPAではバーチャルPPAと違い、環境価値だけでなく電力の供給も受けることができます。また、フィジカルPPAでの電力供給は原則として固定価格での取引になるので、電力価格の変動リスクを回避できます。
バーチャルPPAの利点:地理的な制約を受けない
バーチャルPPAの利点は、地理的な制約を受けずに複数拠点に環境価値を配分できる点です。バーチャルPPAは物理的な電力の供給を受けずに、環境価値だけを購入する契約なので、遠隔地の発電所とも契約が可能です。
どちらがおすすめ?
電気代の節約をしたい場合はフィジカルPPA、環境問題への貢献がだけが目的の場合はバーチャルPPAがおすすめです。
産業用・分譲型太陽光発電リサーチ
ニュース・よくある質問

産業用・土地付き分譲型太陽光発電に関する最新ニュースや、よくある質問をまとめています。これから野立て、農地、遊休地、工場の屋根などに太陽光発電を検討されている方は参考にしてください。