補助金・節税
産業用太陽光発電を導入する際は補助金を利用することがおすすめです。産業用太陽光発電は設置する規模にもよりますが、パネルやパワコンなどの設備購入費、設置工事費などでかなりの費用が掛かります。そこで、国や地方自治体が脱炭素社会の推進や地方興進のために出している、補助金を利用することで、よりお得に太陽光発電を導入し、電気代の節約やSDGsへの貢献が可能になります。
今回の記事では、産業用太陽光発電の補助金の選び方や申請の仕方について解説し、2025年現在国や地方自治体が出している補助金を一部紹介いたします。
補助金獲得のために必要なこと
補助金の獲得には、事前のリサーチ、計画の立案、専門家との連携が必要になります。それぞれ説明していきます。
事前のリサーチ
産業用太陽光発電の補助金は、省庁、都道府県、市町村のそれぞれの枠組みで違う補助金が出ています。それぞれの補助金の申請期限や供給額、条件を調べてどの補助金を適用するのか事前にしっかりと調べる必要があります。補助金の情報は国や地方自治体のwebサイトに掲載されています。補助金の予算や条件は年度ごとに変化します。最新の情報へのキャッチアップも忘れずに行いましょう。
計画の立案
補助金の審査を通るには、事業計画を綿密に練ることが重要になります。補助金とは政策目的の達成のための投資支援であるので、どのような課題を解決するために太陽光発電を導入するのか、どのくらいのCo2削減効果があるのかといった点が見られます。よって、太陽光発電導入の目的は電気代の削減よりも、BCP対策や脱炭素経営の実現といった目的を掲げる方が評価されます。
また、明確なビジョンと継続的な運用計画のある事業の方が評価されるので、事業の妥当性、計画性も見られます。
専門家との連携
補助金の申請を自社だけで実行するのは、実際のところ実務上のハードルが大きいです。補助金は制度ごとに様々な条件や酵母の締め切り期間が存在しており複数制度の比較・選定をするのはかなりの手間です。
また、申請書類作成の手間もかなり煩雑で、書類に不備があった場合交付が遅れたり見送られることもあります。さらに、設備の仕様の時点で補助金の交付条件に当てはまらず補助金が適用されないこともあります。補助金を獲得するには設備の設計段階から要件を満たしているか確認が必要になります。
上記のような作業はかなり複雑で、手間がかかるため、専門家の知見があると安心です。補助金制度の選定や申請作業は、専門のコンサルタントや設置事業者の手を借りて実行するのが一般的です。
特に設計、調達、施工をワントップで行うEPC事業者の手を借りるのが最もおすすめです。EPC事業者であれば、設計段階から補助金制度にあった要件を設計段階から織り込むことが可能です。また、EPC事業者には書類作成や補助金制度に精通したスタッフも在中していますので、書類不備で差し戻されるリスクを低減できます。
補助金は併用できる?
地方自治体の補助金と国の省庁が出している補助金は、制度によっては併用可能な場合があります。ただし、補助金制度によっては併用した場合の予算の上限額が決まっていることもあります。一方で、国と国の補助金同士の併用は原則できません。実際のところ併用可能かどうかは例外的なものも多くあるので、制度ごとに併用可能かどうか確認する必要があります。
国の補助金紹介
環境省、経産省、国土交通省がそれぞれ補助金制度を実施しています。いくつか制度をピックアップして紹介していきます。
環境省の補助金紹介
| 省庁 | 環境省 |
|---|---|
| 事業名 | 脱炭素先行地域づくり事業 |
| 事業概要 | 1設備導入事業 ①再エネ設備整備 太陽光、風力、中小水力、バイオマス等 ②基盤インフラ整備 地域再エネ導入・利用最大化のためのインフラ設備導入 ③省CO2設備 ZEB ゼロカーボンドライブ 2効果促進事業:「CO2排出削減に向けた設備導入事業」と一体となって設備導入の効果を一層高めるソフト事業 |
| 対象事業者地方公共団体 | 民間事業者・団体 |
| 補助金給付額 | 2/3 |
| 募集期間 | 令和4年度~令和12年度 |
出典:環境省
https://www.env.go.jp/content/000248488.pdf
| 省庁 | 環境省 |
|---|---|
| 事業名 | ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業 |
| 事業概要 | 本事業では、初期費用0円での自家消費型太陽光発電設備と蓄電池の導入支援や集合住宅・戸 建住宅等への自家消費型太陽光発電設備の導入支援、蓄電池の収益性を高める支援を通じてストレージパリティ(太陽光発電を導入する際に、蓄電池を導入しないよりも、蓄電池を導入するほうが経済的メリットがある状態)を目指します。 |
| 補助金給付額 | 太陽光発電設備:定額、蓄電池:定額(上限:補助対象経費の1/3) |
| 募集期間 | 令和6年度~令和11年度 |
出典:環境省
https://www.env.go.jp/content/000248492.pdf
| 省庁 | 環境省 |
|---|---|
| 事業名 | ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業 |
| 事業概要 | ペロプスカイト太陽電池の導入初期における発電コストの低減のため、将来の普及も見据えて拡張性の高い場所(同種の建物への施工事例の横展開性が高い場所、自家消費率が高い場所、緊急時の発電機能が評価される場所など)への導入を支援します。 <主な要件> ・導入するフィルム型ペロブスカイト太陽電池が性能基準を満たすこと ・同種の屋根等がある建物への施工の横展開性が高いこと ・導入規模の下限、補助上限価格 ・施工・導入後の運用に関するデータの提出 |
| 対象事業者 | 地方公共団体・民間事業者・団体 |
| 補助金給付額 | 2/3、3/4 |
| 募集期間 | 令和7年度~ |
出典:環境省
https://www.env.go.jp/content/000278971.pdf
経産省の補助金紹介
| 省庁 | 経産省 |
|---|---|
| 事業名 | 再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金 |
| 事業概要: | 民間団体が再生可能エネルギーの出力変動に対応する調整力等として活用可能な系統用蓄電池システムなどの導入に必要な経費に対して補助金を充てることで、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて再生可能エネルギーの導入拡大や電力供給の安定化を目指しております。 |
| 対象事業者 | 要件を満たす民間団体等 |
| 補助金給付額 | 定額補助(10/10) 補助上限額:(令和7年度)50億円(うち業務管理費3.7億円以内) (令和8~9年度分)350億円(うち業務管理費は2割以内) |
| 募集期間 | 令和7年4月15日(火曜日)~令和7年5月9日(金曜日) |
出典:経産省
https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2025/data/0415_01_02.pdf
| 省庁 | 経産省 |
|---|---|
| 事業名 | 需要家主導型太陽光発電・再生可能エネルギー電源併設型蓄電池導入支援事業費補助金 |
| 事業概要 | 地域共生を前提に、需要家が小売電気事業者及び発電事業者と一体となって取り組む太陽光発電の導入や当該太陽光発電設備への蓄電池の併設を支援することで、再生可能エネルギーの導入の加速化と最大限の活用を促し、エネルギー危機に強い経済構造への転換を図ることを目的とします。 |
| 対象事業者 | 特定の需要家に電気を供給するために新たに太陽光発電設備を設置・所有するもの |
| 補助金給付額 | 2/3、1/3、1/2以内 |
| 募集期間 | 単年度事業:令和6年9月19日(木)~10月25日(金) 複数年度事業:令和6年9月19日(木)~11月8日(金) |
出典:JPPC
https://jp-pc-info.jp/r6j/
国土交通省の補助金紹介
| 省庁 | 国土交通省 |
|---|---|
| 事業名 | 物流脱炭素化促進事業 |
| 事業概要 | 地域の集配拠点や倉庫、トラックターミナル等の物流施設等において、物流の脱炭素化促進に資する取組を実施するための、水素および、大容量蓄電池等を活用した再生可能エネルギー電気の利用に必要な設備や、それらを利用する車両等の導入を行う事業に要する経費の一部を補助することにより、物資の流通に伴う環境への負荷の低減を図る「物流脱炭素化促進事業」の募集を開始致します。 |
| 対象事業者 | 倉庫事業者、貨物運送事業者、貨物利用運送事業者、トラックターミナル事業者 等 |
| 補助金給付額 | 水素を活用した取組 補助率:1/2以内、上限額:2.5億円 再生可能エネルギーを活用した取組:【補助率:1/2以内、上限額:2億円 |
| 募集期間 | 令和7年5月13日(火)14:00~6月12日(木)16:00まで(必着) |
出典:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000887.html
| 省庁 | 国土交通省 |
|---|---|
| 事業名 | 空港脱炭素化推進事業費補助金(設備導入支援) |
| 事業概要 |
空港の脱炭素を促進するために、必要な設備の投入や課題解決を行い、た空港へ横展開に資する先進的な事業に対して補助するもです。 (1)太陽光発電等の再エネ導入に係る事業 (2)空港車両のEV・FCV化に必要なインフラ設備導入に係る事業 (3)空港建築施設の省エネ化に係る事業 |
| 対象事業者 | 全ての空港の空港管理者、空港内事業者その他の民間事業者 |
| 補助金給付額 | 補助対象経費に 1/2 を乗じて得た額以内の額 |
| 募集期間 | 令和7年9月16日(火)~令和7年10月17日(金)17時必着 |
出典:国土交通省
https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku09_hh_000297.html
地方自治体の補助金
国だけでなく、都道府県、市区町村のレベルでも補助金を給付しています。地方自体の補助金は国の制度と併用できる場合があります。いくつか紹介します。
都道府県の補助金
| 都道府県 | 東京都 |
|---|---|
| 事業名 | 地産地消型再エネ増強プロジェクト |
| 事業概要 |
再エネ設備を都内に設置し、設備から得られたエネルギーを都内の施設で消費する事業です。対象設備は以下の通りです。 1再エネ発電設備 共通要件:次のすべての要件を満たすものとする。 ①再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第9条第4項の認定を受けない自家消費を主たる目的としたものであること。 ②再生可能エネルギー発電設備の年間発電量が、発電した電力の需要先の年間消費電力量の範囲内であること。 2再エネ熱利用設備 共通要件:次の要件を満たすものとする。 再生可能エネルギー熱利用設備の年間発熱量が、当該熱を供給する施設の年間消費熱量の範囲内であること。 |
| 対象事業者 | 中小企業、区市町村等 |
| 補助金給付額 | (中小企業等) 3分の2(上限額:1億円) (その他) 2分の1(上限額:7,500万円) |
| 募集期間 | 令和5年4月3日から令和6年3月29日まで |
出典:東京都観光局
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/solar_portal/subsidy
| 都道府県 | 京都府 |
|---|---|
| 事業名 | 駐車場・農地等再エネ導入促進事業 |
| 事業概要 | 駐車場にソーラーカーポートを導入する事業に対して、ソーラーカーポートや蓄電池の導入費用を支援します。 |
| 対象事業者 | 民間業者(PPA・リースも含む) |
| 補助金給付額 | 太陽光発電設備:導入費用の1/3 上限200万円 蓄電池:導入費用の1/3上限100万円 |
| 募集期間 | 令和8年1月30日(金曜日)まで(先着順) |
出典:京都府
https://www.pref.kyoto.jp/energy/juten_taiyoko.html
市区町村の補助金
| 市区町村 | 愛知県豊田市 |
|---|---|
| 事業名 | 豊田市新エネルギー活用促進補助金 |
| 事業概要 |
豊田市内で製造業又は運輸業を営む中小企業者・中堅企業が、再生可能エネルギー発電設備等(太陽光発電、蓄電池など) 又は水素活用設備(再生可能エネルギー由来水素発電システム、純水素型燃料電池等)を導入するにあたり、その費用の一部を補助します。 |
| 対象事業者 | 豊田市内に事業所を有していて指定の要件を満たしているもの |
| 補助金給付額 | 豊田市SDGs認証(ゴールド又はシルバー(最上位又は上位認証)に限る。)を実績報告までに取得している方 対象経費の3分の2 上限額:4,000万円 上記以外の方 対象経費の2分の1 上限額:3,000万円 |
| 募集期間 | 令和7年4月1日(火曜日)~令和8年3月31日(火曜日) |
出典:愛知県豊田市
https://www.city.toyota.aichi.jp/jigyousha/kigyoyuchi/1064642.html
| 市区町村 | 沖縄県宮古島市 |
|---|---|
| 事業名 | 宮古島市脱炭素先行地域再生可能エネルギー設備等導入補助金 |
| 事業概要 | 本市の脱炭素先行地域(下地地区・狩俣地区)において、太陽光発電設備及びその附帯設備の導入に要する経費の一部を補助することにより再生可能エネルギー発電設備等の普及を促進し、もって脱炭素先行地域における民生部門の電力消費に伴う二酸化炭素の排出量実質ゼロの実現に資することを目的として実施いたします。 |
| 対象事業者 | 宮古島市PPA登録事業者として登録を受けた事業者で指定の条件を満たしているもの |
| 補助金給付額 | 太陽光発電設備:補助対象経費の2/3以内 蓄電池:補助対象経費の3/4以内 充放電設備(充放電設備・充電設備):補助対象経費の3/4以内 その他基盤インフラ設備:補助対象経費の3/4以内 |
| 募集期間 | 令和7年12月26日(金) |
出典:沖縄県宮古島市
https://www.city.miyakojima.lg.jp/gyosei/ecoisland/2024-1122-0845-24.html
まとめ
太陽光発電の導入は国や地方自治体の補助金を利用することで、かなりの経済的メリットを得ることができます。ただし、その分審査は厳しく予算や募集期間による制限もあります。太陽光発電の補助金を獲得するには、専門家と連携して事業計画を綿密に練り、設備の仕様を補助金制度の要件を満たすように設計する必要があります。太陽光発電を自社で導入し、補助金の獲得を目指すならEPC事業者を利用するのがおすすめです。
産業用・分譲型太陽光発電リサーチ
ニュース・よくある質問
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